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「……お前、足どうした」
「あ?」
玖川は立ち止まって顔だけこちらに向けてくる。
さっき歩き始めた時、明らかに右足を引きずっていた。
前あった時は普通に歩いていたから別に足が悪いわけじゃないのだろう
……怪我、してんのか?
「お前でも怪我すんだな」
「はっ……こんなもん怪我のうちにははいらねぇよ、気にするな」
「別にてめぇのことなんか気になんねぇよ」
呼び止めたくせに
そう言って笑うと玖川はまた右足を引きずりながら階段の方に歩いて行った。
その背中を見ていてわかる。
……そこにいるだけでその存在感は計り知れない。
その存在だけで生徒は動きを止め、圧倒される。
あるものは尊敬の眼差しで、あるものは隠しきれない恐怖をあるがままにして。
でも、
「……わかんねぇな」
上に立つものはその下の誰より動いて目立っているものだ。
だけど、あいつは違う。
滅多に姿を現さなければ、目立った動きを見せるわけではない。
奴らの言う仲間ってもんに特別何かしてやっているようにも見えない
わからねぇ……
こっちの世界ってのを知らねぇからかもしれないが、やっぱり理解し難い。
何があいつを評価しているのか…
ヤツが慕われる理由は何なのか…
それがわかれば、よくわからねぇこの心の中の鬱屈も消え去るのだろうか
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