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行くあてなどないが、なんだかジッとしていられなかった。
寮を出る前に霧崎に止められたが、それを無言で押し切って外に出た。
当たり前だが、夜の外は暗い。
外灯の下をあてもなく歩く。
夜の静寂の中に俺の足音だけが静かに響いている。
ふと、足を止めて顔を上に向けた。
学園が山の上に立っていることもあり、比較的空気は澄んでいる。
それに、空を遮るものがほとんどないぶん遠くまで見渡すことができる。
今日は月が出ていなくて、星がよく見えた。
「はぁ……」
吐いた息が白く染まる
そのまま出てきたせいで薄着のままだった。
寒さに身体が震える。
すでに冷え切った指先を握り込みながら、乱暴にポッケに両手を突っ込んだ。
「……何がしてぇんだろ」
誰にあてたでもない言葉
いや……これは俺への問いだ
人に頼らねぇって言ってるくせに、結局は一人で生きられねぇ……
それをさっき改めて実感させられた
誰かに頼らないと生きていけない弱者
それは間違いなく今の俺だ
人に押し付けて、蔑み、忌み嫌った……それこそが俺だった。
わかっていたこと
それでも、認めたくなくてずっと目を背けていたこと
自分がもっとも無様だと思った姿こそが俺だったんだ。
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