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菫という男
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朝、
『っ~~ふぁ…ねみぃ』
白い部屋の中白いベッドの上でその部屋に似合わない灰色のスウェットに赤と白の胸元が広いダル着を着ている俺はそのまま病室を出る。
向かうのはトイレ。
手洗い場で顔を洗うと鏡を見て顔の確認、
『っチッまたくまができてるじゃん、』
今日は大きめのサイズのマスクしとくか…
マスクをつけていつものピンク色のピンで前髪を止める。
廊下に出れば相変わらず誰もおらず、
まぁ朝の…6時?頃だしまだ客もあんまいねーよな
そう思いながら廊下をのそのそ歩いて向かった先
診断室。
ガラガラッ
横開きのドアを雑に開けると中の診断用ベッドの上でくたばってるのが1人。。
『おーはよーございまーすー、』
ベッドの上でくたばってる奴の背中にかるーく座ってやる、
「っゔぇ…お前か…菫、」
『あ、おきた?おっは~神崎センセー』
「っお前、誰の上に乗っとんじゃゴラァ?」
ちょっと奇抜?かなり?
まぁ目つきの悪いこの男がここの医者、菊地 仁。まぁ闇医者?詐欺医者?どーでもいいけど正統じゃないのは確か、
「おい、お前誰が詐欺医者だっ?」
『あ?聞こえてた?まぁ事実っしょ~』
「お前なぁ、はぁ…」
『なにー、そんな溜息だしちゃ幸せ逃げちゃうぞきくっち~』
「何変な名前つけてんだよ、やめろ。てかお前点滴どうした?」
『ん~、外してきちゃったテヘッ』
顔洗うのにも邪魔だったしなー、
点滴とか俺苦手だし~、嘘だけど
「っはぁ?お前はつくづく呆れる奴だな、さっさと病室戻んぞ、点滴つけなおすから」
『えー、しょがなーいなぁ~。あっ、きくっちー煙草くれよ切れたんだわ』
「おい、ここは病院だそ?それにお前も病人だ、煙草やめろって言っただろ身体もたねぇぞ」
『ははっ、病人ね…まぁいいじゃ~ん煙草なきゃ俺よ精神がもたないー』
「なんだそれ、けど……
進行早まってんぞ?若いって理由もあるけどお前も気付いてるだろ?」
はぁー、はやいなぁー、、
まぁ気付いてたけどさ
『んー、分かってる』
「なら煙草も辞めろ、お前の身体の為にもお前を大事に思う奴等の為にもお前は頑張らねぇといけない、」
頑張る。……ねぇ……
ばかばかし、頑張る。なんて俺には似合わない言葉だ
『あぁ。分かってる』
だから嘘をつく。
俺にとって大事な奴等がいるのは事実、だから俺はアンタにもあいつ等にも嘘をつく
少なくともあいつ等よりは先に俺はあの世に逝ってしまう
時間が経てば人の記憶は薄れていく
いつかは忘れられるかもしれない
けど、
名前だけでいい、それでもいいから
俺がこの世に存在していたことを覚えていて欲しい
一人は寂しいから…
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