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「そういやあんた何で鯖缶買おうとしたんだ?」
男の長い指がカップに絡まる。少しの間考えて口を開いた。
「うーん、世界を見るため?」
わお、予想外。俺には全く理解ができない。新手の宗教かな?鯖缶で世界が見れるって画期的!!
「最近の鯖缶は凄いな……」
「何言ってるの君?」
ですよね。やっぱり鯖缶は鯖缶なんだろうな……。
……この男と喋っているとおかしくなりそうだ。
「あんた、他に食べたいものあるか?」
「え?」
「いや、朝飯が炊き込みご飯だけって寂しいだろ?」
「ああ、そうだね……金平ごぼうと、ほうれん草のおひたしと、お吸い物と―――」
「ちょっと待て、何品作らせるつもりだ」
「ざっと7,8?」
「どこの旅館だそれは」
「普通じゃないの?」
「俺が育ってきた家ではありえなかった」
やっぱり、ボンボンだな。俺の家も平均的な一般家庭に比べると裕福ではあったが流石に朝にそんなに大量の料理は出てこなかった。
まぁ勿論夜もそんなに出はしなかったが。
「つか、食堂でもでねぇだろ。そんなに沢山」
「ここの寮がちょっと残念なのかと思ってたよ。うん……。勉強になるなぁ……」
男はこくりと頷いた。何かを自己完結したようだ。良かったな。
にしてもどれだけ金持ちなんだ?常識が無さすぎやしないか?信じられない。
「とにかくそんな時間ねぇから」
「うん、分かったよ」
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