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「お前今日機嫌いいんだな」
ぽん、と俺の肩を叩いた山崎は俺の前の机に腰掛けた。
「そう見える?」
「見えるな、普段は『何も知らない愚民どもが』みたいな感じで蔑んだ目で皆のこと見てるが、今日はそんな事は無い」
俺の顔の前で人差し指を持ってきてにやりと得意げに笑う。
「ふーん、さすが山崎はお見通しなんだねぇ」
「まぁ、長いこと友人やってるからな」
そう、この男は幼なじみだ。
「で、何があった?」
コイツの好奇心を隠さないとこは嫌いじゃない。
「いいものを見つけただけ。ほとんどダメだと諦めていたけどいい物もちゃんとあった」
薄く笑ってやれば山先は苦笑した。
俺の言いたいことを把握してくれたらしい。流石だ。
「お前のファンの奴らに見せてやりたいよ」
「見たって幻滅なんてしないと思うよ。だってあの子達が好きなのは俺のこの容姿なんだから」
そう言って毛先をいじると山崎はまた笑うのだ。
「てか、親衛隊とか要らないよ」
この学校には部活でも委員会でもなく親衛隊という組織がある。
簡単に言えば行き過ぎたファンだ。ルールを守れなければ制裁。親衛隊に所属しておらず支持者の友人や知り合いでないものが必要以上に話しかければ制裁。
どの部活よりも体育会系なのではないだろうか。
「親衛隊の人は皆口を揃えて『俺のため』だというけれど、俺が望んでいないことに気づいてない」
「そう言ってやるなよ。あいつらにもあいつらなりの考えがあるんだ」
「山崎の親衛隊の人達は俺の親衛隊になる人よりいい人だと思うよ」
この真面目な男に惹かれる人は少なくない。
スポーツ万能、学業優秀、山崎は何だってできる。
それに引換俺は何だってできるけど何もできない。
やろうとしないと言った方が正しいのか。やはり
できないのか。
ああ、今朝は楽しかった。もう一度彼の料理を食べたい。
そうすれば、父の言っていたことも分かり、心も満たされる、そう思った。
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