アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
7
-
「ごちそうさま」
男はそう言って箸を置いた。食べ方は綺麗だった。茶碗の代わりに使ってもらった深めの皿には米粒一つ付いていない。
食べ方もだが食べ終がきれいだと作った方としてはとても嬉しい。
男の分も食器を水につける。後で洗おう。
男が座っている向かいに戻る。カーペットにゴミを発見してゴミ箱に捨てる。
「ねぇ、明日も来てもいい?」
「えっ、まぁ……」
サングラスの奥がわからず表情が分からない。きっと男に俺の戸惑いは伝わっているのに向こうの気持ちは計れない。
明日も、というのに多少驚いたが料理は好きだし一人で食べるよりよっぽど楽しい。それに男の感想も。
「じゃぁ、明後日は?」
まぁ別に構わない。一人分も二人分も変わらない。
「じゃぁ、その次」
質素な物になるが予算的には苦しくはない。
「じゃぁ、次は?」
「待て、毎日来るつもりか」
「君が嫌じゃなければ」
男はにこりと微笑んでいる(気がした)。
「嫌……じゃねぇけど、こっちにも色々あるっていうか…………」
食費とか食費とか食費とか。そんなこと坊っちゃんの前で言うのは気が引ける。
「ああ、食費?」
けれど男はさらりと言い当ててしまって俺も黙って頷いた。
「あ、じゃぁこれこの間と今日の分ね」
そう言って男はオシャレな黒の革財布を取り出す。
絶対ブランド物だ。カッコイイ。俺も働き出したら買いたい。
そんなことを考えていると男は札を二枚抜いて俺の前に滑らせた。
ぱちり
男の顔を見る。
もう一度下を見る。
また男の顔を見た。
「これ、冗談だよな?」
「いや、本気だけど」
「受け取れるわけ無いだろ!!」
俺の目の前には諭吉が2枚鎮座していた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
31 / 106