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あめの日なんてなくていい。
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「あ、雨……」
ついに梅雨入りしました。最近は雨ばかりで憂鬱だ。雨は嫌いだ。昔のことを思い出す。
雨の匂いも嫌い。
親父と母はもう帰ってこないと俺に突きつける。
今日の雨の降り方があの時と少し似ていて気分が悪くなる。
『孝弘、いい子でお留守番しててね。今度の日曜日に孝宏の好きなおもちゃ買ってきてあげるから』
『うん!!』
一週間後に俺は持っていたおもちゃを全て捨てた。
『嘘つき』
そう、親父と母は嘘つきだ。帰ってくると言ったのに。
俺がいい子じゃなかったからいけないのか。帰ってきてくれなかったのか。
ぎ、と唇を噛む。鼻に何かがこげたような匂いがつく…………ん?
「うわっやばっ」
気づけば野菜炒めが焦げていた。慌てて火を止める。キャベツがあの生き生きとした緑が消えてしまった。
人参も、玉ねぎも黒い。これじゃぁあいつには食わせられない。
「はぁ……何やってんだろ」
雨足がまた強くなった。
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