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「っ―――」
立っていられなくて膝をおった。
あの時と同じだ。急に鳴った電話。家に来た親戚。強まる雨足。その後ろで雷が鳴り続けていた。
あの時と、同じだ。
何で。ひどく気分が悪い。手が震える。
あいつは? まだ来ないのか。誰でもいい傍にいて欲しい。ああ、こんな雨なら来ないか。
ゴロゴロと雷のおどろおどろしい音が辺りに響く。テレビ。せめてテレビをつけよう。リモコンを探してテレビをつけた。
音量を上げる。雷が聞こえないくらいに。
まだ聞こえる。もっと。もっと大きくしなきゃ。もっと。もっと。
窓の外が光る。
ぷつん
あっけない音と共にテレビも電気も消えてしまった。
「あ…………へ、ヘッドフォン」
どこに置いたっけ。ああ、昨日寝る前に音楽を聴いたから寝室だ。遠い。無理だ。膝を抱え耳を塞ぐ。
早く。はやく、はやく。鳴りやんで。雨だけならなんとかなる。
その時だった。
どん、と音がした。雷の音じゃない。それが二三度続いた。
なんの音かすぐに分かった。ゆるゆると四つん這いでベランダの扉まで近づく。暗闇で見えないけど人の気配を感じる。ここから来るなんて奴しかいない。
何とか震える手で鍵を開けた。
「やぁ、途中ですごい降ってきてぬれちゃ―――わっ!!」
男の腕を引く。突然のことに驚いた男はバランスを崩しながら床に座り込む。その体に抱きついた。
男は濡れているため冷たい。胸にぐり、と顔を押し付ける。
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