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脱衣所を出てキッチンへ。冷えたペットボトルを二本取り出し一本を男へ投げた。
「悪いな。服」
「ああ、気にしないで」
十数センチある男と俺の身長差じゃ着る服もかみ合わない。この間三木と宮原が泊まったときは結局服を取りに一度戻ってもらったからどうってことなかったけど今は着る服がない。
下はなんとか入るのがあったのでそれを穿いてもらったが上はどうしようもなく何も着ていない。
「ああ、そうだ。今日のご飯何? お腹すいちゃった」
「ぁ……」
それを聞いて周りの温度が1、2度下がったように感じた。
あれから何も準備できていない。これじゃぁ迷惑をかけっぱなしだ。
「わり、今日ちょっと失敗して……だから、カップ麺でいいか?」
「……いいけど。その失敗したのは? 捨てたの?」
「いや、まだここに」
そう言うと男はキッチンへ入ってきた。
きょろ、と辺りを見渡して皿を出す。フライパンを持ち上げて中身を移そうとする。
「おい、何やってんだ?」
「食べるよ」
「はぁ? やめろよ。美味くないし、それは俺が食べるからカップ麺で我慢してくれ」
俺の言葉を無視して男はフライパンの中身をせっせと皿に移す。やっぱりキャベツもほかの野菜も焦げ付いてしまっている。美味い筈がない。
「やめろってば、そんな不味いもの食わせたくない」
「でも、俺のために作ってくれたんでしょう? だったら食べるし、残したりしない」
何なんだこいつ……
「……勝手にしろ」
男を見てられなくて視線を外す。
別に嬉しくなんかない。変わった奴だって思ってるだけだ。ちょっと今日は弱ってるから変な優しさに戸惑ってるだけだ。
だから頬が熱いのはきっとただの気のせいで、気の迷いだ。
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