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本音を言うとほっとした。存在が確認出来る場所にいてくれるのが有難い。
両親が死んでからこんなふうに思ったのは初めてで、今まではやり過ごすしてこれたのに今日は不安でしょうがない。
背中に感じるあいつ存在にすごく落ち着いた。
「今日は助かった。ありがとう」
照れくさくて直接は顔を見ては言えないけれど。これだけは伝えたかった。
「こっちのセリフかな」
男がそういった時には抱き寄せられていた。
「な、なんだよ」
「いつもありがとう。君のおかげで最近心があったかい」
「よく分かんねぇけど抱きつく必要ないだろ……」
「ふふ、やっぱり上の服ないと寒いんだ。暖めてよ」
何を言っているんだこいつは!! 一瞬殴るか蹴るかして離れさそうと思ったけど俺を抱く腕が本当に冷くてやめた。
あ、大人しくなった。と小さい呟きが聞こえた。
耳元で聞こえるそれがこそばゆい。体温が上がったような気がした。
こいついい声だから耳元で話して欲しくない。
「体温高いね。やっぱ眠い?」
くす、と笑い声と髪を梳く手。
「み、耳元で喋んな」
「何で?」
「っぞわぞわする……から」
「そっか、耳も弱いんだ」
吐息が耳を掠めて変な声が出そうになる。こいつ絶対わかってやってる。
やめて欲しい。顔に段々と熱が集まってくる。おもちゃにされたくない。
「もうしないよ。おやすみ」
そう言った男は本当にそれ以上耳元で喋りはしなかった。代わりに俺の髪をすいてもう片方の手で背中を叩いてくれた。
心地よくて段々意識が薄れていった。
また起きたら礼を言わなくちゃ、次の晩飯はいつだろう……
おやすみ、と男が囁いたとき俺はもう夢の世界へ旅立っていた。
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