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side:山崎
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人目につく場所はめんどくさいので空き教室に二人して入る。
「そう君、久しぶりだね」
陸が笑っている。
そう君と呼ぶ声も目も変わっていなくてホッとした。
そう君と呼ぶのは陸しかいない。だいたい皆、山崎か役職名で呼ぶからだ。蒼という名で呼ばれることは滅多にない。
「どうしたの?」
「陸が帰ってきたってあいつから聞いたからな。会っておきたかったんだ」
そう言うと少しの間の後、花が咲いたようにふわりと笑った。
「心配かけたよね」
「当たり前だ」
見た目通り柔らかいブロンドに触れるとくすぐったそうに笑う。こうして触れるのも久しぶりだ。
「南も会いたいと言っていた」
「うん、オレの方から会いに行くよ」
「友人はできたか?」
「うん、いい子達だよ」
「そうか、ならいい」
離れていた間は一切連絡を取らなかった為本当に久しぶりだった。
「そういえば、お前の『親衛隊』を作りたいと申請書が来ていたぞ」
「あー、うん。オレも今日いっぱい書類渡されたよ。ちょっと顔や目の色が人と違うからって」
困るなぁ、と陸が笑う。どうにかしてやりたいが学園の制度。どうすることもできない。逆にこうしなければ平和が保たれないのだからしょうがない。
「それだけお前が認められたと思えばいい」
「そう君の考え方は素敵だね」
「そうは思わないが、お前が言うならそうなのかもしれないな」
「うん」
そう言ってまた笑った陸の顔は今までの何倍も綺麗な笑顔に見えた。
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