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side:三木
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早く帰らないと。そう思うのに足がうまく動かない。
筒井に変に思われただろうな。ごめんな。
マスクも外したいけどいつ知り合いに合うかわからないのだ。
「三木君」
エントランスにあるベンチに村岡さんが腰を掛けていた。優しく笑っている。
うわ、やっぱりかっこいいなぁ何て場違いにも思う。だって俺ファンだし。
「早いんだな?」
「あ、用事があったの思い出して……」
「そう、マスクとは関係あるのか?」
「いや、ないですけど」
笑顔で何もないと言ってみる。それに対して村岡さんは何も言わない。
村岡さんは何者なんだ。全てを見透かされている気がする。
「ま、別にいいけどよ」
そう言って村岡さんはいたずらっぽく笑う。何だそれ。暇だから声をかけてみた的なあれか?
「でも、孝弘にも話せないようなことなら、おじさん相談乗るからな」
今度はにかっと笑う。
それに対して一瞬反応が遅れてしまってろくな返事もできず、急いでるんで……とぼそぼそ喋ってその場を離れた。
何だろうあの人は。気づかれた? いや…………何を狼狽しているんだろう。気づかれて嫌なようなことでもないし。
マスクだってみんなが心配するかもってつけているだけだ。そうじゃん。俺、何に怯えてるんだろう?
また、着信音。
驚いて握っていた携帯を落としそうになる。
発信者はもちろん大好きな先輩だ。
「あ、もしもし。ごめんなさい。もうすぐ着くんで待っててくださいね!!」
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