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「ね、君俺と遊ぼーぜ」
はぁ? まだ、地面にはおろしてもらえないようなので首だけひねる。
くすんだ金髪と灰色の目の男が俺を持ち上げていた。
「下ろせよ」
不機嫌なのを隠すことなく告げる。
いきなり人の事持ち上げやがって。
「うんかYesって言ってくれたらおろす」
ニヤニヤと下品な笑みを浮かべながら男が話す。さっきから腰のあたりを触られてるのが気持ち悪い。もうこいつ蹴っていいかな。話通じなさそうだし。
「君可愛いし、二人でどっかい――――」
「ダメですよ」
「ぅわっ」
ガクン、と視界が揺れる。
宮原に軽々と抱かれていることに気づく。何この敗北感。
「オレがいるからあなたはお呼びじゃないよ」
男は舌打ちをするとどこかへ消えてしまった。
「筒井大丈夫?」
「おー、もうすぐで殴るか蹴るかしてたわ」
「はは、筒井らしい」
屋台の通りを人ごみの少ない方へ向かって宮原が歩く。道行く人がこっちを見ている。
それもこれも宮原が下ろしてくれないからだ。
「なぁ、宮原そろそろ降ろせよ」
すごく、恥ずかしい。
「筒井が変なちょっかい出されないようにね」
はは、と宮原が笑う。
そんな変わった奴ごく少数だろうしどうせ殴ればどこかに行くだろうし気にしなくていいのに。
「な、宮原」
「はいはい」
人が居なくなったところですとんと地面に下ろされる。
背の高い宮原が羨ましい。俺には多分宮原は抱えられない。
「筒井変な人についえ言っちゃダメだよ」
「っ――」
耳を触られて危うく声が出そうになって思わず目をつぶる。耳はダメだ。
こんな事をするなんてあの時のあいつのようだ。サングラスが頭を掠める。
宮原なのか? 今聞けば教えてくれるか?
「わ、かってる。なぁ、お前に聞きたいことがあるんだ」
「あ、ごめん。筒井。約束の時間までちょっとしかないや!! 今度でいい?」
「え、ああ」
「じゃぁね!!」
宮原は走り去ってしまう。その背中を見送って近くにあった石ころを蹴飛ばす。
宮原があいつだったら友達に会うっていうのは嘘でサングラスとかを取りに行ったんだろうか。
いいや、部屋でだって話はできるし。
俺もそろそろ飯の準備しなきゃな。
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