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いつものようにベランダの方のガラスが叩かれる。今日は既に解錠してあったけれど自分で開ける。歓迎も込めて。久しぶりに男を見て何故だか胸が暖かくなる。
男はいつものようにそこに立っているようでいて、雰囲気が違って見えるのはなぜなのか。
「よう、久しぶりだな」
「……久しぶり」
声のトーンもと違う。まるで――――怒っているようだ。怒る?
男はそのまま部屋に入ってしまう。いつもなら二、三言会話をするのに。久しぶりなんだけどなぁ。
その姿にいても立ってもいられない。食事は楽しもうと思っていたのにそれもできないのか。
いつものように茶をだして向かいに座る。カップを見て小さくついた溜息が耳に入った。
今日は、飲みたいのはこれでなかったようだ。チクリとどこかが痛む。
「なんで機嫌悪いんだよ」
そのまま食事もしたくなく男を見る。
「君って警戒心が薄いよ」
「は?―――」
ぬっと男の手が伸びてくる。両手で顔を挟まれる。
「喧嘩は強いかもしれないけど、」
「ゃっ」
耳をすり、と撫でられる。どっと心臓が跳ねだす。
「それ以外じゃ隙だらけだ」
振り払いたいけど、耳を触られ続け力が入らない。吐息が漏れる。変な声が出る。恥ずかしい。恥ずかしい。ぎゅ、と目を瞑る。
止めなければ、変なことになってしまいそうで怖い。ぞくぞくと背中をかけ登っていく何かが怖い。
耳を触っていた右手がする、と頬を撫で唇を触る。
「や、やめ」
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