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「ん〜やっぱり久しぶりに食べる君のご飯は美味しいね」
「あそ」
いつもより美味しそうに食べるし感想を言うものだからこっちも恥ずかしい。
今日のは手巻き寿司だから大して何もしてないし、そうだ。素材を褒めているだけだな。うん。
「お前、それ巻けてねぇじゃん」
男の手元を見ると酢飯と具ののせすぎで巻ききれなくなかった手巻き寿司(になるはずだったもの)があった。
「こういうの欲張ちゃうよね」
「子供か」
「というかこういうの初めてなんだよね」
さすが金持ち。
「回る寿司屋に行ったことは?」
「お寿司はカウンター席でしょ? 」
そうですか……。こういうところで育ちの差って出るよな、と思う。金持ちが多いこの学校で庶民の生徒が肩幅狭い思いをするのもそのせいだと思う。
だって寿司なら回らないのが普通。別荘はあって当然。自分たちの常識とは違うことが常識なのだから恥ずかしい思いもする。
でもこうやって手巻き寿司も自分で出来ないところとか可愛いなとか思う面もある。
「それこっち渡せ。俺が巻いてやる」
「いいの? ありがとう」
食べたいのを聞いてやって巻いていく。弟とかいたらこんな感じなのか。
海老と卵の手巻き寿司を作ってやる。
「ほら、」
皿を出せと言う意味で手を伸ばしたのだが男の解釈は違ったようで、俺の持つ寿司をぱくり、と食べた。
そのまま食べ進めていく。なんか餌付けしているみたいだ。
食べ進めていく姿が可愛い。とか思っていると、ちゅ、と指先に唇が触れた。
「わっ」
また熱がぶり返しそうになる。
男はふふ、と笑ってごちそうさまと言った。
たまたま触れただけだろう。そうだろうけど、恥ずかしい。
「君の作る卵焼き本当美味しいね」
やっぱり恥ずかしいのは俺ばかりのようだ。
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