アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
10。
-
デザートのゼリーも好評だった。
いつもように食後も茶を出す。紅茶を出すと微かに微笑んだ。あたりだ。
自分のカップを机において深呼吸をした。
聞かなきゃいけない。
自分で決めたのだから。こいつが誰なのかはっきりさせようと。知りたい、教えて欲しい。
「なぁ」
「ん?」
男は変わらない。緊張する。
ただ、宮原なのか問うだけ。そう、それだけ。躊躇う必要などない。
「お前は宮原、なのか?」
自分の声は思いの外しっかり響いた。
言った。言ったんだ。
男は数秒動きを止めて持っていたカップをテーブルに置いた。
形のいい唇が動くのをジッと見つめる。その時間がとても長く感じた。
「そうだよ」
ドク、心臓がはねる。
そうだよ。つまりそれは肯定。彼が宮原だということだ。隣のクラスの、いつも一緒にいる彼だ。
みやはら、口の中で小さく唱える。宮原だったのだ。今までの事全て。
じゃあ1日の殆どを宮原と過ごしてるな、だなんて逸れたことを考えてしまう。思考が戻ってくれない。何か、何か足りないような。
「サングラス、外してくれないのか?」
そうだよ。きっとサングラスだ。宮原のあの淡い、湖を連想させるような瞳を見れば、全てが受け入れられる。
宮原はふ、と笑う。
「まだダメ。2週間後の終業式の日の夜に外すよ」
それまで、毎日食べに来るね。そう言って宮原はテーブルを挟んだ俺に手を伸ばし頬をするりと撫でた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
70 / 106