アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2
-
「お帰り〜」
「ただいま」
「ん、元気ないぞ、どうしたよ」
村岡サンは今日も孔雀のTシャツに箒だ。ぶれないなぁ。
このもやもやを消したくて、こういう時は大人に聞くのがいいかもしれないと思った。
「三木が、」
そう名を出した時時ぴく、と村岡サンの片眉が上がった。
今日の事や最近様子がおかしいことを話す。もしかしたら俺の勘違いかもしれない。そうなら勘違いだよ、と村岡サンに言ってもらいたかった。
けれど、俺の話を聞きながら険しい顔をしていた。話を聞き終えるとため息をひとつこぼした。
「孝弘、明日三木君を連れて来い」
「……多分あいつこないと思う」
俺がそういうとふむ、と村岡サンは考え込む。
「なら、俺が会いに行くよ」
「えっ?」
「余り楽しそうじゃぁないからな。まぁ、おじさんに任せとけよ」
ばんっと背中を叩かれる。ビリっと背中がしびれた。痛いと軽く睨むと村岡サンはニカッと笑う。この人に任せたら大丈夫かもしれないと思った。
「三木君の事は俺に任せてお前は自分の事で悩んでろ」
「えっ!?」
全て知っているみたいな言い方で笑われ息を呑んだ。
俺何も言っていない筈なのに。
「まぁ、この年頃の青少年には悩みの一つや二つあって当然だからな」
何でと思っていたのが分かったのか村岡サンは意地悪そうに笑った。なんだ、バレてるのかと思った。
「俺も、三木には前みたいに笑って欲しいから出来る事はするよ。村岡サンよろしくお願いします」
「お前本当明に似てるなぁ」
ぼそ、と村岡サンが呟いた。
「そういう、人を思えるところそっくりだよ」
あ、またこの目だ。
村岡サンが親父のことを話す時の目。いつもと違う。優しいだけじゃないこの目。どこかで見たような気もする表情。
もしかして、と一瞬よぎった考えは帰ってきた他の生徒に打ち消された。
「お!! お帰りー」
「たっだいまー」
またな、と村岡サンに小声で囁かれこく、と頷いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
73 / 106