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終業式まで。6日目。
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「今日一緒に昼飯食っていいか?」
3日ぶりに登校してきた三木はそう言って笑った。なんでも、彼氏が進路の事で先生に呼ばれているらしい。
それに俺は二つ返事で了承した。久しぶりに三人で昼食だと思ったが今度は宮原が用事らしかった。
*
「最近彼氏とは上手くいってるか?」
「当たり前じゃん」
ふふ、と笑う三木。
「コケたのは大丈夫だったのか?」
「ああうん、この通り。捻挫も軽くてもう痛くないし。
筒井はいいことでもあったのか? 雰囲気が柔らかいぞ」
そうか、と曖昧に返すと春か? と三木がニヤついたのでちげーと否定する。春ではない。
なんでもかんでも恋愛につなげるなんて女子高生か。
「村岡サンがお前のこと心配してたぞ」
「ああ、寮まで来てくれた」
でも俺、何もしてないけど、とミルクティーを飲みながら三木は笑った。嘘はついていないようだがどこか危なげに見えるのは気の所為だろうか。
「村岡さんっていい人だよな。俺なんて筒井の友人ってだけなのにここまで気にかけてくれて」
まぁ、何もないんだけどな。と三木は付け加えた。
「お前と昔の自分が似てるんだとよ」
「へぇ、村岡さんと似てるとか嬉しいな」
憧れだしと嬉しそうに三木は笑う。嬉しそうに笑う三木を久しぶりに見た気がする。
「みっちゃん、おひさー」
後ろから衝撃を受ける。うっと声が漏れた。誰かに上にのしかかられている。頭に肘が当たって痛い。
「やっちゃん!! おーっす」
やっちゃんこと八木 悟 はクラスメイトだ。三木とは中学からの付き合いらしい。
前髪をカチューシャであげて、八重歯がチャームポイントのクラスのムードメーカーの一人だ。
「おい、八木重い」
八木はバスケ部で身長も183cmある。そのデカいのが俺にのっかっている。重いことこの上ない。
「え〜、つっくん意地悪言わないでよー。俺の愛の重さだよ」
こいつはノリとかが三木に似ている。クラス全員にあだ名をつけているし。それによく俺に対して愛してるだの好きだのよく冗談を言ってくる。
「ちょっと重すぎるな」
「ひっどー」
「やっちゃん、振られてるー」
ぷ、と三木が笑う。
「うっせーリア充!!」
笑いながら八木が叩こうとしたのだろうか軽く手を振り上げた時。
「やっ……!!」
三木が、後ずさり両腕で自身の頭を庇った。
後ずさった拍子にイスが倒れ派手な音を立てる。
場が静まり返った。
「みっちゃん……?」
八木が不思議そうに三木を見る。
三木が青ざめる。
「ご、ごめ俺驚いた……」
「亮大」
びくん、と三木の体が大きく揺れた。
「あ……」
扉の方を見ると三木の彼氏、美作が立っている。
「亮大、何してるんだい? おいで」
ふらり、と歩きだす。
「三木」
思わず呼び止める。さっきの八木への反応は明らかにおかしい。
「先輩が呼んでるから行かなきゃ」
「お前、何もなくなんかないだろう」
「そうか? 俺、あの人のこと大好きだぞ」
そう言って俺の方なんか見向きもしないで三木は彼に走り寄ると腕を絡めた。
頭を撫でられくすぐったそうに首を竦めている。
そのまま二人でどこかへ行ってしまった。
そして三木はその日教室へ帰ってこなかった。
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