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終業式まで。12日目。
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「弁当、作ってきたぞ」
わーいと二人が手を叩く。子供か。空き教室で食べたのはこないだだけで昨日から通常通り俺らの教室で食べている。
メニューはおにぎりに唐揚げ、卵焼き、タコさんウインナー、アスパラとコーンの炒め物、おひたし、プチトマト、枝豆、まぁ、よくある感じだ。
「あれ、筒井は?」
「俺はサンドイッチ」
微妙に余った材料でチキンカツサンドや卵サンドを作った。
「えー、いいな、俺そっちも食いたい」
「俺の腹が持たないからダメだ」
伸びてきた三木の手をぺちり、と叩く。唇を尖らせているが知らんぷりだ。
「ま、早く食え」
いっただきまーすと三木が唐揚げを口に入れた。
「ん〜やっぱ筒井の作る飯美味しい」
「本当料理上手だよね、将来は料理人?」
「あー、考えたこと無かったな」
料理人という選択肢は無かった。多分きっとそこまでの才能もないだろうし。
友人とかにたまに食べてもらうくらいがちょうどいいだろう。あ、今日の卵焼きどうだろう?
宮原を見る。前にうちに来た時に俺の卵焼きが美味しいと言ってくれたから、何げに気合をいれて作った。
だが、宮原の弁当の中の卵焼きは減っていない?
「宮原、卵焼き食わないのか?」
「え、ああごめん筒井、オレ卵苦手なんだよね、昔アレルギー持ってたからなんとなく敬遠しちゃって」
宮原は、何を言ってるんだろう?
「お前前俺んちきた時、卵焼きが美味しいていってなかったか?」
だってあの時の場は嘘をつくような雰囲気じゃなかった。
あれが嘘だったとしたら笑えない冗談ってやつだ。
「え? オレが筒井んちで食べたのはカレーだけど……」
宮原は本当に不思議そうで、嘘をついているように見えない。違和感が凄まじい。俺は、どこで間違った?
「み、宮原回転寿司に言ったことはあるか?」
「もちろん」
「寮の朝食の品数少ないと思うか?」
「全然」
誰、だ? 違う。俺が俺が思っていた答えと真逆のものばかり。冷や汗が背中を伝う。
「筒井は、誰とオレを勘違いしてるの?」
クス、と宮原が笑う。それが答えのようだった。
****
「やぁ、今日はお出迎えなしなんだ。何かあった?」
いつもどおりの姿。黒いサングラス、マスクを外す。フードの下はブロンドヘアー。目の前の男が笑う。
「なぁ、お前は誰だ?」
「宮原、言ったはずだよ」
ふ、と男は笑う。
「違う、お前は違う」
「違わない。君の思っていた宮原じゃなかっただけ」
君はちゃんと見てくれてると思ったんだけどなァ、と悲しそうに俺を責めるような声が響く。
「だから、誰だよ?」
「落ち着いてよ、それも明後日分かるよ。入学式みたいに寝ないで終業式に参加するんだよ。筒井君」
唇に男の指が触れた。楽しそうに男は笑う。
「ふふ、ちゃんと俺を見つけるんだよ。今度間違えたら許さないからね」
そう言って、男が近づいてくる。おでこに柔らかいものが触れる。
何かわかった瞬間一気に熱が上がる。ばっとその箇所を抑える。
「お、おまっ……!!」
「ムードないなぁ、キスくらいいいじゃない」
「よくない!!!!」
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