アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
終業式まで。当日。
-
現在終業式、睡魔との格闘中だ。
こういう、形式ばった会とか苦手なんだよな。サボろうかとすら思っていた。
校長の話が長すぎる。最初の10分はアイツを探すのに使ったがどうも見当たらない。宮原がいただけだ。
だんだんまぶたが降りていく。こういうの本当嫌いだ。何でほかの奴らは真面目に話が聞けるんだろう。
やばい、マジでまぶた、おもい…………
『……です。最後に、終業式は寝るためにあるのではありません、』
聞こえてきた声にはっと目が覚めた。何だか随分と聞き覚えのある声だ。
寝ぼけていてよく入ってこない、このままだとまた寝そう。
『一学期の節目ですから、ちゃんと出席しましょうね、二度寝してはいけませんよ』
あれ? 重いまぶたを必死にあげて前を見る。この声、知ってる。だって、俺――――
『よし、これで全員起きたかな? 』
意識が一気に浮上する。立ち上がりそうになったくらいだ。何で、と言葉が漏れた。だって、おかしい、こんなの、こんなこと、
『では、皆さん、夏休みを存分に満喫してください』
目が、合った。ニコリ、と微笑まれる。
どくん、と心臓がはねる。あ、と間抜けな声がまた漏れた。
そこにいた。あいつが。ブロンドのやわらかそうな髪。整った鼻や口、背格好も昨日まで見てきたものだ。そして、意志の強さを感じさせる声が何よりも、壇上に立つ男があいつなのだということを示していた。
急いで隣の奴にあいつは誰だと尋ねる。隣のクラスメイトは驚いた後、生徒会長だろ、と小さく笑った。
会長、あいつが。昨日一緒に食事をとったあいつが、一緒に笑ったあいつが、一昨日、俺の、俺のおでこにキスしたあいつが……
立場が違いすぎる。だって、ここは授業や学校内施設以外の学校運営を生徒会が取り仕切っているような所だ。
生徒会役員は特別扱いされていて生徒たちにの人気も段違いだ。寮も役員のためだけの物があって、クラスメイトでもない一般生徒が話しかけることもできないくらいの特別扱いなのに。
こんなこと、あっていいのか。
夜、いつものようにベランダのガラスが叩かれた。
来た。
いつもと違う、この感じ。何故かふわふわする。この向こうにあいつがいるんだ。
「やぁ」
「……よぉ」
ふわ、と微笑んだあいつはいつもの通りマスクとサングラス。これは周りに自分の正体を悟らせないためだったんだ。
「ふふ、今日のお茶は何?」
嬉しそうに、楽しそうに俺の部屋に入って定位置に座る。
俺は急いで引っ込んで、あいつが近頃お気に入りの玄米茶を入れる。
あいつは口をつけると微笑んだ。当たりだ。
「飯の前に聞いていいか、じゃなくて聞いていいですか?」
「うん、いいよ。敬語を使うってことは俺が誰か分かった?」
「生徒会長」
口の中が渇く。男は当たりー、と間延びした声で答えた。
「正解だよ、筒井君。今まで君とともに夕食を囲んでいたのは俺だ」
でも、と言葉をはく。
「筒井君寝てたでしょ? 俺との約束を破ったね」
「約束、してないですけど」
昨日の記憶を手繰り寄せる。うん、約束はしていない。だが会長の中では約束だったらしく、ダメだよーと笑っている。
「やっぱり、こういう時って罰ゲームだよね」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
85 / 106