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「筒井君が俺のサングラス外して」
それが会長の言う罰ゲームだった。
何処が罰ゲームなのか見当もつかない。会長の目の前に立ち膝を折る。両手で外せと言われたので言われたとおりにサングラスを外した。
目をあけてくれていると思ったが閉じられている。ブロンドの睫毛は長く、電灯の光に輝いて光っている。
あ、宮原と違う。左目尻に小さな泣きぼくろ。
突然強い力でがっと手首を掴まれる。
「んっ」
突然の事に頭が真っ白になった。ああ、この人の目はエメラルドグリーンだ。宝石のように輝いている。その瞳と視線が絡む。
それだけじゃない。柔らかいものが当たってる。
どこに? 口に。
ちゅ、と音を立てて会長が離れていく。思考が一気に遅くなった。
「もう、目くらい瞑ってよ。ムードないなぁ」
そう言って、会長は自身の唇を舐めた。
「は、はぁ!? ふざ、ふざけんな!!」
かっと頬に熱が集中する。乱暴に腕で拭うと酷いなぁと返ってくる。とんだ罰ゲームだ。
「別に初めてじゃないでしょ?」
その言葉に俺は返せない。
だって、初めてだったから。唇へのキスとかそういうものは大事な人とするものだと思っていたから。
だから、こんなふうに、こんなところでするとは思わなかった。
俺の無言に答えを知ったのか会長は目を瞬かせたあと微笑んだ。綺麗だ。
「そっか、俺が筒井君の初めてなんだ」
その言葉は何処か嬉しそうでもあって何だか恥ずかしくなった。
「お、お前何なんだよ!! これが罰ゲームってお前にとっても罰ゲームだろうにわざわざこんな事……!!」
一気に早口でまくし立てると今度は声をたてて笑い始めた。何なんだよ一体!!
「そっか、そう思うんだ。いや〜強敵だなぁ……」
「? そうじゃなきゃ何なんだよ」
「ま、そういうとこも可愛いけどね」
「可愛いとか言われても嬉しくないです」
今思えばどうして宮原と勘違いしていただろう。似ているようで全然似ていない。
会長の方が俺をからかってくるし、可愛いとか良く分からないことを大量に言ってくるのに。
「ふふ、罰ゲームはこれでオシマイだよ。さ、今日の夕飯は何?」
するり、と頬を撫でられ、エメラルドグリーンの瞳に捕らえられる。
今までこの目にこんな風に見られていたんだ。そう思うと落ち着かなくなった。
サングラス1枚あるとないとでこうも違う。跳ねる鼓動を鎮めたくて立ち上がった。
「今日は、卵焼き作ってます」
ぶっきらぼうにそう告げるとそれは楽しみだと優しい声が返ってきた。
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