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「ん〜筒井君って子供体温? あったかいね」
どうしてこうなってるんだ!! いますぐ逃げ出して叫び回りたいくらい俺の頭の中はごちゃごちゃで、心臓の音がうるさかった。
何故か俺は会長と同じベッドで寝転んでいて後ろから抱きつかれていた。
どれもこれも会長のせいだ。
遡ること数十分。することもないからとアクション映画を見ていたのだか俺がウトウトしてしまった。
『もう眠い?』
そう聞かれたから素直に頷くと、寝よっかと手を引かれた。
そのまま抵抗することなくついていくと寝室にたどり着いた。
俺用の布団でも準備してくれるのかと思っていたら俺をヒョイ、と持ち上げベッドに寝かせたのだ。流石に驚いて目が覚めた。
だって、こんなベッドで俺が寝るなんて思わないだろう? 会長はどこで寝るというんだ。
『会長はどこで寝るんだ?』
『会長は他人行儀で嫌だなぁ。瑛って呼んで』
『瑛さんはどこで寝るんだ?』
『勿論、筒井君の隣だ』
そう言った会長は俺がベッドから出ようとするのをありえないくらい強い力で押しとどめて抱き寄せた。
そして今に至る。
何で俺なんかに抱き着くんだろう抱き枕にしても女の代わりにしても硬すぎるだろうに。
ベッドから出ることは諦めたから開放してほしい。このままじゃ眠れる自信がない。
「会長、ここで寝るし、暑いから離してくれ」
「瑛って呼んでっていったよね、暑いならクーラーつけてあげる」
「瑛、さん」
片手で俺の腰を掴んだままクーラーのリモコンを探し当てたのかピ、と音がする。モーター音が聞こえ出す。
離してくれる気はないらしい。大きな手が触れている。触れられた肌が熱を持っている気がしてくらくらした。
背中越しでもわかるんじゃないかというくらい心臓がうるさい。明るければ俺の真っ赤な顔も見られてしまうに違いなかった。
「筒井君、そんなに嫌?」
耳元で囁かれて、ぞく、と体が震える。気づけば は、と吐息が漏れていた。
嫌なのか、そうではないのか分からなかった。体の中がぐらぐらと茹だっている気がする。
耐えられなくなってぎゅ、と目を閉じる。
すると、後ろでふ、と笑う声が聞こえた。俺が答えないから呆れたのだろうか。
「嫌ならこれもバイトの一環だと思って」
おやすみ、筒井君そう言って俺の髪を撫でた。
そのまま長い間眠れなかった。背中からは規則正しい呼吸音が聞こえてきて眠っているのがわかった。
そして、腕の力が弱まる。少し身じろげば出られるだろう。
けれど、どうしていいか分からなかった。
さっきまではこの腕から逃れたいと思っていたのにいざとなって少しだけこのままでいたいと思ってしまったのだ。
呼吸とモーター音だけが響く。
ぶる、と体が震えた。寒い、クーラー効きすぎではないだろうか。
目だけを動かしてリモコンを探すが見当たらなかった。
寒い。寒い、はぁっとついた息に流されるように体の向きを変えた。
寒いから、ただ、それだけだから。
体を寄せて目の前の胸にそっと顔を預けた。
「瑛さん、おやすみ」
そう呟いたあとすぐに眠りの波がじわりと俺を侵食していった。
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