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side:宮原a 生徒会のオシゴト
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「今日はまず一学期の会計報告から、南さすがに終わった?」
「ひゃー、あっくん怖いなぁ、勿論だよ」
今からプリント回すねーと南がプリントを配布していく。今学期の収支が書かれたものだ。
ざっと目を通したところ訂正箇所はない。南は火がつくのは遅いしサボりがちだけど仕事は正確だ。
南の言葉に耳を傾けながら頭をよぎったのは筒井君のことだった。
あー、帰りたくなってきた。まさか彼がアルバイトと言う名の俺の欲望を果たすためだけの条件を呑んでくれるとは思わなかった。
髪乾かしてる時の筒井君可愛かったなぁ……思い出して一人キュンキュンする。
可愛いだけじゃないもんなぁ、色っぽいもんなぁ……耳弱いし、首まで赤くなって息吐く時とかたまんない……
「おーい、聞いてる?」
「ん、聞いてるよ」
不信感をあらわにした南にひらと手を振って返す。半分聞いてる。もう半分は山崎が話を聞いてくれているだろう。
まぁ、今から昼休憩までは集中しよう。流石にね。
**
「じゃ、40分休憩にしようか」
予定していたものまで仕事が終わったので昼休憩を挟む。休憩といっても全員ここで昼を食べるだろう。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
ずっと楽しみにしていたんだ。筒井君の作った弁当。
普段は購買で買った物を食べていた俺が弁当を持ってきているのに気づいたの全員がこっちを見ている。
そんなに見つめなくても……
「えー、あっくん弁当? 誰が作ったの?」
「南、食べ歩きをするな行儀の悪い」
山崎の話には気のない返事をした南は俺の肩に腕を乗せて笑っている。重いどけ。
けれど、この弁当を自慢したい気持ちもあったのでどけとは言わないで蓋を開けた。
ナポリタン、小さなハンバーグ、ほうれん草の胡麻和えとピーマンと鰹節の和物、ポテトのベーコン巻きと、プチトマト、おにぎり。そして卵焼き。
彩りよく飾られたお弁当に思わず笑みがこぼれる。卵焼きはもちろんの事 、俺が以前美味しいと言ったピーマンと鰹節の和物やナポリタンを入れてくれているのも嬉しい。
彼の優しさが伝わってくる。
手を合わせて卵焼きから、優しい甘さが口の中に広がった。ふわふわと柔らかくて穏やかな気持になる。
「あー、美味しい」
「マジで誰が作ったの? あっくん差し入れとか一切受け取らないじゃん」
「すっごい可愛い子」
南と山崎が顔を見合わせているのがわかった。驚いているんだろう。
「お前のそんな顔初めてにみた」
「俺も」
二人は心底驚いたように言った。
「どんな顔?」
「なんか、心から慈しんでます!! 大事にしたいんです!! みたいな、弁当に向けてそんな表情……」
そう言われて笑ってしまった。周りの奴には気付かれるのに本人は気づいてくれないって悲しいなー、だなんて思っていたら、横から手が伸びてきて卵焼きを一個奪っていった。
「うまっ、この優しい味、あっくんが惚れるのも頷けるわ。こんなに料理美味いんだったらアッチの方も楽しんでるんじゃない?」
ひひ、と下ネタをぶち込んでくる南には料理が上手い奴は夜の方も!! という法則があると言っている。南の経験論なだけだろうけど。
にしても卵焼きを食べたことは許せない。俺のために作ってくれたのに。
「そんな関係じゃないし、汚すような話しないでくれ」
「え? あっくんがまだなの? あの!? 1年の時は言い寄ってくる人全員――」
「お前とは違うの、大事にしたいんだよ」
心からの言葉だ。彼を大事にしたい。胸焼けするくらい甘やかして溶かしてあげたい。嫌なこと全部取り去ってあげたい。
「ふーん、全校生徒のアイドルにそこまで思われるなんてよっぽどだな俺もあってみたいな〜」
「ダメだ。お前はあわよくばイイコトしたいっていうのがバレバレ」
「ちぇ」
「だから新学期早々殴られるしな」
山崎がはっと笑った。そういえばそんな話があった。入学式の日だ。俺が初めて彼にあった日。代表挨拶の場。
自分で言うのもなんだけど、どの生徒も俺を見ていた。それまで興味なさげだった生徒も俺が壇上に立つと顔をあげた。けれど彼だけ眠っていた。一番前に座っていたわけでもないけどその姿はすごく印象に残っていた。
「あー、そういや最近あの子と会ってないや、懐いてくれたらかわいがるのになぁ、犬みたいだしあの子」
「でもお前尻揉んで殴られたよね」
トイレから帰ってきた書記の浜部がハンカチで手を拭いながら笑った。
俺以外は全員その場にいたらしい。
「オレのテクが伝わらなかったみたいー」
「純粋に気持ち悪かっただけだと思うぞ」
「ざっきーひどい」
あー、やっぱ俺を癒せるのは千佳ちゃんだけ!! そう言いながらケータイでメッセージか何かを送っている。
でもそれは千佳ちゃん宛ではないのだろう。今だ寮に残っている『お気に入り』に声をかけているんだと思う。
いつか刺されるんじゃないだろうかあいつ。
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