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シャワーの音で室内は満たされている。じわりと身体が温かくなっていく。雨音も遮断されて幾分か思考がまともになってきた。
彼を好きだと認めて、これからどうしようか。ここにいるのはいけない気がした。
俺がきっともたない。心臓が壊れて心も体も甘く甘く溶かされてしまうような気がした。
壁に額を押し付ける。まだ少し冷たい。
「――――瑛さん」
小さく名前を呼ぶ。それだけで心臓は音を立て始める。とくりと小さく音が鳴る。
その時、ガタンと言う音ともに電気が消えた。続いて落雷。ひっと喉が鳴った。
手に持っていたシャワーを取り落としてしまう。
あ、あ、どうしよう。先程とは違う意味で心臓が鳴り始める。黒い澱みが体を包んでいく。
「ゃ、たすけ……」
体に力が入らなくなって座り込んだ。体を引きずるようにして外に向かった。
嫌だ。一人にしないでくれ。いい子でいるから、だから
「筒井君、大丈夫!?」
「ぁきら、さ」
浴室の扉を開けて入って来た瑛さんに思わず抱きついた。雨に濡れた彼は冷たい。けれど、そこにいた。そのことに安心して涙が滲み出す。
「瑛さん、瑛さん……俺、嫌。一人は嫌だ」
「筒井君っ……」
強く抱きしめられる。心が暖かいもので満たされていく。
ついに涙が溢れた。
「ここに居て、ちゃんと帰ってきて、俺、俺……」
「大丈夫、泣かないで」
胸に顔を埋める。微かに瑛さんの匂いがした。
「いい匂い……」
すん、と鼻を寄せた。落ち着く優しい匂い。小さく呟いたけれど瑛さんには聞こえていたようで大きく体を揺らした。
「筒井君」
両手で頬を挟まれ上を向かされる。二つの宝石と視線が絡む。親指はやわく唇をなぞる。
「さっきからこんなことしてわざと?」
口の端だけで笑われる。
「ちが、んっ……」
唇を塞がれる。目の前には瑛さんの綺麗な顔が広がっていてキスをされていると気がついた。
ぬるりと唇を舌が撫でる。促されるように口を開けると口内に入り込んでくる。
あつい。瑛さんの舌が。触れた唇が。ぞくぞくと背中を走るモノがある。ああ、悦んでる。そう気づく。溶けている。溶かされていく。
けれど嫌じゃない。甘い痺れにこのまま身を任せてしまいたくなった。
どうしよう。ふるり、と体が震える。
「んっんん……」
口内を蹂躙されて段々と力が抜けていく。こんなの知らない。こんな……
どちらのものとのしれない唾液が口の端を伝っていった。
ゆっくりと瑛さんが離れていく。糸を引く銀糸に切なく思っている自分がいた。
もっと、そう思うのはいけないことだろうか。
酸欠でくらくらする。は、とついた息は熱が篭っていた。
体がピリピリする。ああ、こんなのダメ。知らない。
キスがこんなものだったなんて。
瑛さんと目が合う。熱っぽい目だった。体の奥がずくん、と重くなる。
引き寄せられるように近づいた、けれどハッとしたように瑛さんが俺の肩を押した。
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