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「ねぇ、筒井君」
ベッドの中。今日はいつもと違う。向かい合って抱き合っている。
「何だ?」
また強く抱きしめられる。あったかい。
「ありがとう」
心臓の音。ここにいる印。
「俺はちょっと恨んでるけどな」
「え」
「あんたがいなきゃ俺は雷の日もここまで怖くなかったのに」
見上げると瑛さんは破顔した。手が髪の毛を梳く。
俺としては割と真剣な悩みだったのに。だって瑛さんがいないと雨の日は怖くて仕方が無い。
「ふふ、俺は嬉しいけどなぁ
筒井君が弱いところ見せてくれるの」
「……変な奴」
「可愛いなぁ、毎日でも雨降って欲しいよ」
「馬鹿……あっ耳噛むな!!」
耳を噛まれる。触られるとダメだ。熱くなる。変になる。
「ねぇ、キスしていい?」
流れ込んだ声に侵食されていく。甘い痺れが回り始める。
彼の胴に回していた手を首に回す。
「それ、聞くのか?」
こんな事するなんて顔から火が出るくらい恥ずかしかったけど瑛さんが愛おしげに見つめてくれるのが、人からこんなふうに見つめてもらえることが随分と久しぶりで嬉しくて甘えた声を出していた。
「本当、可愛い」
額、瞼、鼻、頬、だんだんゆっくり降りてくる音を立ててキスをされるのは恥ずかしいけど、嬉しくて、
「あきらさ、んんっ」
名前を飲み込まれるように口づけられた。瑛さんの気持ちが流れ込んでくるみたいだった。
何度も角度を変えて落とされる。だんだんと深くなっていく。息もままならなくなっていく。
くらくらしてくる。
「あきらさ、俺を離さ……ないで」
「っ勿論だよ……」
熱を孕んだ声で、目で捕らえられる。こんな表情をさせているのは俺なんだ。優越感にも似た喜びが体を回る。
「筒井君も、俺を見てね」
額同士をくっつけてそう言われた。分かったと小さく言った。それだけで嬉しそうに笑ってくれる。
「ふふ、じゃぁ今日はもう寝ようか。明日も朝ごはん楽しみにしてるね」
「分かった」
額にキスされて抱きこまれる。まるで抱き枕みたいだ。硬い男で楽しいんだろうか。
俺は瑛さんの暖かさが好きだから嫌ではなかった。クーラーの肌寒さから守ってくれる。
「おやすみ、筒井君」
「おやすみ……」
明日の朝は瑛さんの好きなものをたくさん作ろう。また美味しいっていって欲しい。まや、喜んで欲しい。
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