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エプロンの天使
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「ん……?ふぁあぁ……」
窓から差し込む光が瞼の裏を赤く照らし朝を伝える。
あー、もう朝なんか……と、寝足りない頭を動かすために大きく伸びながらあくびをした。
別に寒い季節ではないのに布団があったかく心地よいので、布団から出るのをためらう。
こんな時陽兄がいたらたたき起こされてただろうから、それを考えるとやっぱり寮生活っていいなぁなんて。
さぁて、いつまでも布団の中でイモムシになっているわけにはいかないかと、ゆっくりとした動作で掛け布団をまくりベッドから身を起こす。
ベッドの中と外との温度の違いにぶるりと身震いすると、脱ぎ捨てて散らばったままの制服に手を伸ばした。
「よし。……ふわぁ。」
制服をピシリと身にまとった俺は気合を入れるべく一声出してみたが、冷めない頭はもう一度大きなあくびをぶちかました。
眠気をちゃんと覚ますためにも顔を洗わなくてはいけないと自分の部屋から出るべくドアノブをひねる。
そういえば朝食のことを全く考えてなかったが……まぁ、購買で何か買えばいいやろう。
ひねったドアノブを向こう側におして扉が空いたところで気づく。
何や、このええ匂いわ。
そう、自分の部屋を出た先。
桐と俺の共有スペースになるであろうその部屋から、なんとも美味しそうな匂いがするではないか。
それにつられるようにフラフラと部屋を出て匂いの先へ向かう。
そしてその先にいたのは
「あぁ~、奏斗ちゃんおはよぉ。朝ごはん良かったら食べないぃ~?」
ピンクのエプロンを着た天使だった。
「あ、あ、あぁ、天使、天使がおる……」
まだ、しっかりと覚め切っていない頭でフラフラと料理に近づく。
俺の発言をちゃんと聞き取れていなかったのか首をかしげた桐をよそに、美味しそうな匂いを放つそれに手を伸ばす。
ほら、みてみ……まるで食べて?言わんばかりにうまそうな匂い漂わせやがって……
「あ。もしかして奏斗ちゃん寝惚けてるぅ? って、ちょっとご飯を食べる前に顔洗って歯磨きしてこないと~」
何も考えず料理に伸ばした俺の手をがっしりと掴むと桐は少し呆れたようにして俺を洗面所におしいれた。
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