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⑤
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寮を出て学校に向かう。
気まずい雰囲気になってしまったのがまだ響いているのか、足取りは重い。
でも、桐が学校に行かん理由……いじめやなくて良かった。
いじめで学校いけんとか、ほら、辛いやん。
ふと、思い出したくない記憶が蘇る。
あれは、小学校五年生の時やったっけな。
『奏斗さいってーやな。もう俺に話かけんでな』
その言葉と心底憎むような冷えた目は今でも忘れない。
俺の、親友……いや、親友だった奴の言葉。
彼奴は五年も一緒にいた俺やなくて、あんな奴を信じた。
所詮すぐ裏切られるような、薄っぺらい関係やったんや。
それだけの話。
そう、それだけの……
「……ッ」
だめだ、考えるのはよそう。
どうせ、今更なんだ嫌なことは早く忘れるに限る。
それに俺はもう、昔の俺とはちゃう。
どんよりとした空気を消すように頭を振って気を紛らわしていると
学園の方から、予鈴の鐘が鳴るのが聞こえる。
「あ、やば。はよいかな」
そう言って足をはやめた。
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