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恐怖症
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孝雄は暗い場所が苦手だった。
明るく、彩られた世界が少しずつ薄くなっていく感覚が、死を、喪失を誘うようだった。
幽霊や怪物といったものが怖いわけではない。
物音や部屋の微々たる動きを感じるほど神経質ではない。
汚れた物にとてつもない嫌悪を抱くような潔癖症でもない。
そもそも『怖くて怖くて、どうにかなってしまいそう』とか『その場にいると、狂い死にたくなる』という訳ではない。
この先には何があるかわからない、堺目の無いもしくは見えない場所での、その先にあるものが自分の最も恐るものが待ち受けているかもしれないという恐怖だった。
具体的でない恐怖が孝雄の頭をよぎる。もっとも、『恐怖』というものは具体的でない事の方が多いのだが…
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