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痕
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今思い出すとあの時の自分はなさけなかったと思い返す。警察を呼んだあとは、まるでそのことを抹消するように素早く迅速に片付けられた。
結局、真相は愉快犯の仕業だということにたどり着き、迷宮入りということで終わった。もちろんそこにいた孝雄も事情聴取を受けた。警察が孝雄の家にきた時に彼女を抱き締め、血に濡れていたからである。
それは証拠不十分なこと、アリバイがあること、また信憑性や証拠としてはあまり使えないが玲香の父母が孝雄の無実を支持してくれたこともあり、孝雄に容疑がかけられることはなかった。
しかしその優しさが、許しが孝雄の今後の人生をねじ曲げる要因として、孝雄の心を蝕んだ。妻を守れなかったのに、妻から守られてしまったと、孝雄の責任感が許さなかった。
そうして、病んでいくうちに仕事を辞め、子供の頃やっていた武道を、復讐の道具として使ったのだ。
このトラウマから生まれたのが、孝雄の暗い場所が苦手だという心理とたった一人怨み人を復讐をする南原孝雄ができたのだった。
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