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怪しい奴
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「え~とSAGIN………SAGIN……」
沢山並べられたCDをくまなく見渡しながら目的の商品を探してゆく。”さぎん”だから真ん中辺りかなぁ。
「あ、あった」
5人の少年達が写ったジャケットのCDを手にとると、う~んと覗き込む。
多分真ん中の一番歳上っぽいのがリーダーの蘭かな。この眼鏡の子がシーナ?
百瀬さんから仕入れた情報を元に一人一人メンバーを確認していく。
最後に一番右端の少年に視線を移し、僕はつい「あ」と声をもらしてしまう。
青色に染められた派手な容姿とは反して少し幼さの残るその顔は確かに何処と無く僕に似ていた。
この人が神田トナミ……か。
「ふーん……」
そのまま暫くそのCDを眺めていると、ふと横から僕の手元をジッと覗き込む人物がいる事に気付く。
うわ……
目深に被られた帽子、目元をおおったサングラス。一言言って怪しすぎる……。
「それ」
「え?」
「買うの買わないのどっち?」
スッと指差されたのは僕の手に握られたSAGINの新譜CD。CDを買うのかって聞いてるのかな?
「えっ……と」
買うのかって聞かれれば答えは否。だって興味ないんだから。
「買わない……かな」
言いながらCDを元に戻そうとすればガシッとその手を掴まれ僕は拍子にビクリと身体を揺らした。
「えっ? えっ!?」
「一度手に持った奴戻すのは反則だぞ」
「反則って……そんなの客の勝手じゃない か」
何こいつ。SAGINの熱烈なファンとか?
掴まれた腕を振りほどいて放り投げる様にCDを元に戻す。それを見て奴は「あっ」と声をあげたけどそんなの知らない。
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