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嫁達のおねだりと可愛い戯れ
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晴天の日曜日。
オープンしたばかりの巨大なデパートは、沢山の人で溢れ返っており、若いカップルからファミリーまで様々な人々が長いフロアを足早に行き交う。
店からは陽気なBGMが流れ、お洒落な店員が元気良く呼び込みを行い、飲食エリアからは、芳ばしい香りが漂っていた。
そんな人混みに紛れて、キセキの夫婦達も目的の場所に集まり、顔を合わせていた。
美味しそうなディスプレイが飾られた可愛らしい店内は、既に満席状態だったが、夫婦達は何とか席を確保し、座る事が出来た。
「……無事座る事が出来て一安心っスけど…なんでこのメンバーなんスかね?」
変装用のサングラスを掛けた蜂蜜色の瞳をくるりと回せば、U字型の大きなソファーには、仏頂面をした旦那組が並んで座っていた。
大人数用の広いはずのソファーは、大きな身体がギュウギュウに押し詰まり、密着している。
ここがホストクラブならば、女性は黄色い悲鳴をあげ、ドンペリの1.2本は入れそうなものだが、男達は誰一人と笑っていない。
寧ろ不機嫌なオーラを漂わせていた。
「…そんな事、こっちが聞きてーよ!…つーか、紫原!火神!お前ら場所取りすぎなんだよ!」
「仕方ねーだろ!狭いんだからっ!ってか、お前も脚閉じろよ!」
「…峰ちん、火神、うるさーい。俺、1番でかいんだからしょうがないでしょー。」
「…確かに、ちと狭いなぁ…。木吉、お前さん端っこなんやから、もう少し詰められへんか?」
「…はは、そりゃ無理だ。もう、尻が落ちちまう。」
「…赤司…。…お前が嫁達の言い出した話を許可しなければ、こんな事にはならなかったのだよ…。」
緑間が眼鏡を押し上げ、ため息を付けば隣に座る赤司が眉を潜めた。
「…嫁達にあんな風にお願いされてしまったら、駄目だとは言えないだろう。」
席に座る10分前、店に集まった嫁達のテンションはとても高く、旦那組が立ち入る隙間さえ無かった。
そして、その流れのまま、嫁達は一緒の席に座ると言い出したのだ。
もちろん、旦那達は猛反対したが、そこで嫁達はコソコソと話し出す。
高尾と黒子は視線を合わせると、お互いに小さく頷いた。
『…降旗、ここはお前の出番だ。』
『…え?俺…?』
『…そうですよ。ここはひとつ、降旗君の上目遣いで赤司君におねだりしてください。』
『うぇっ!?黒子何言ってんの!そんなの無理!!』
『…そうだな、それが1番手っ取り早いかもな。』
『えぇー!笠松さんまで!?』
『大丈夫だよ。こうやってちょっと首を傾げて赤司を見つめるだけだから、…ね?』
『それなら、既にそれをやってる氷室さんがやってくださいよー!!』
『俺が赤司にやっても意味無いじゃないか。』
皆にグイグイと背中を押され、降旗は既に涙目になっている。
『…俺達も、それぞれ旦那組の目の前でやるから、降旗も頑張れ。』
ポンと肩に手を当てられて『…笠松さん…』と降旗が情けない顔で笠松を見つめる。
『…頑張れ降旗!』と若松が応援し、日向は前部長命令だとばかりに『…いーから、行ってこい!降旗!』と降旗の背中をおした。
よろけながらも一歩前へでると、腹を括ったのか「…征十郎…」と小さく名前を呼び、その声に赤司が振り返る。
「…なんだい、光樹。」
「…あ、あのさ…その…俺達皆が集まるのってなかなかないし…それに、今後の事で話し合いたい事も沢山あるんだ…。」
「…そうだね。」
「…だから、その……今日はお嫁さんチームでご飯食べちゃダメ…かな…?」
両手を握り、チワワの様に上目遣いで問われる姿に赤司はガン見したまま数秒固まった。
そのチワワの後ろには同じ顔をした嫁達がそれぞれの旦那をジッと見つめている。
「……大我君、皆とご飯食べたいです。」
「……うっ…。」
「…涼太、いいだろ?」
「……っ、幸男さん…」
「…今日は皆と仲良くしたいからさ、真ちゃんとは家に帰ってからじゃダメ?」
「……和成…。」
「…翔一さん、ダメっすか…。」
「…はぁ…、なんつー顔しとるんや…。」
「…敦…お願いしてもいいかな?」
「…えー…その顔ずるいしー…。」
「…いーよな?…鉄平…。」
「…うーん…順平にそう言われるとなぁ…。」
「…あの、すみません、大輝さん…ダメでしょうか…?」
「…良…。…あぁ~もう、クソっ…!」
「……征十郎…やっぱりダメだよね…?」
「…光樹…。」
赤司は降旗の名前を呼ぶと、ニッコリと微笑んだ。
「…君のお願いなら、仕方ないね。…いいよ、皆とランチを楽しんでおいで。」
「…え…いいの...?」
「…勿論だよ。」
それに意義を唱えたのは、まだ了承していない旦那達だ。
「…ちょっと赤司っち!俺達はまだOKしてないっスよ!」
「…勝手に決めるな。俺も許可した覚えはないのだよ。」
「…つーか、俺もいいとは言ってないぜ…?」
「……涼太、真太郎、大輝、煩いよ…。僕がいいと言っているんだから、問題は無い…。」
ギラリとオッドアイの目が光り、皆が口を紡ぐとのを見届けると、赤司は降旗にふわりと笑いかける。
「…これで誰も反対する者はいないよ。…さぁ、光樹…皆の所へ行っておいで。…こっちの事は気にしなくていいよ。」
「…うん!ありがとう!征十郎!」
嬉しそうに嫁達の中に紛れる小さな背中を、満足気に眺めていると、複数の冷たい視線が赤司の背中に突き刺さった。
「……あんな瞳で見つめられて、お前達は駄目だと言えたのかい…?」
端の席で腕を組み、赤い目を動かせば、皆は苦笑いを浮かべる。
「…確かにあの顔されたら無理だよなぁ。」と木吉が頭を掻くと「…ほんまに、嫁さん達には敵わんなぁ…。」と今吉も相槌を打ち「…まぁ、テツヤ達が楽しけりゃいーんじゃねーか?」と言って火神はコーラを飲み干した。
「…それにしても、あっちは楽しそうっスねぇ…。」
チラリと視線を嫁達の方に向ければ、隣にひと席挟んだ向こう側から笑い声が聞こえてくる。
「…あんなに笑って、良のやつ何話してんだ?」
「…室ちんもちょー笑ってるしー…。」
「……お隣さんが邪魔で、ちゃんと話が聞こえへんわ…。」
「…そうか?結構聞こえるぜ…?」
「…火神…お前、どれだけ聴力が良いのだよ…。」
「…おっ、耳を澄ませば聞こえるな。」
木吉が耳に手を当てれば、赤司達は静かに耳を傾けた。
「…LOINEではよく話してるけどさ、こうやって皆で会うのって久しぶりっすよね!」
「…そうだね、笠松さんの結婚式以来じゃないかな?」
高尾が問えば、氷室が答える。
「…あの時は、皆来てくれてサンキューな。」
「…いえ、俺達の方こそ黙っていてすみませんでした。」
「…黄瀬から、笠松さんには黙ってろって口止めされてたんで…。」
日向が頭を下げれば、若松もペコっと会釈し、それに続いて他の嫁達も頭を下げる。
「…やめろよ、俺は怒ってねーから。…確かに驚きはしたけどよ、嬉しい気持ちの方が強かったんだ。」
少し照れた様に視線を外した後、話をすり替える様に「…しかし、お前達の腹もでかくなったなぁ…」と言葉を発した。
「…本当だよね!俺のはあんまり大きくないから、みんなの見てビックリしたよ!」
「…そうですね、皆さん凄く大きいです。」
「…確かに、降旗君と黒子君は余り大きくないね…。」
心配そうに氷室の綺麗な指先が、降旗と黒子の腹を撫でる。
「…大きくはないですが、順調に育ってるんですよ。」
「…俺の赤ちゃんも、順調だから大丈夫だって先生が言ってた!。」
「…そうか、なら一安心だよ。」とグレーの瞳を細めて笑った。
「…それにしても、黒子のお腹は小さいね…。」
「…降旗君のお腹も可愛らしいですよ。」
マスコット的な二人は、小振りな丸い腹をお互いに撫で合った。
「…氷室さんはスレンダーで腰が細いから、すごい腹目立ちますね。」
「…そうかい?自分ではそうは思わないんだけどな…。高尾君もなかなか大きいね。」
「…触ってもいーっすか?」と高尾が確認をとると「…いいよ。…俺も触っていーかな?」と聞かれたので「もちろん!」と返事を返した。
お互いに手を伸ばして、丸い腹に触れる。
「…やっぱり、人の腹だと感触が違うなぁ…。」
「…高尾君のお腹は柔らかいね。」
「…真ちゃんが毎日マッサージしてくれるんで❤︎」
「…高尾、さり気なくノロケんな…。」
「…日向さん、笠松さん並のツッコミwww」
「…おい、俺はツッコミ担当じゃねーぞ。」
「そう言う日向はどうなんだ?」と笠松が日向の腹に手を伸ばして、確認する様に丸みを撫でれば日向は「…え、ちょっ…!」と口吃り、頬を赤らめた。
「…うん、なかなかデカイな。でも、木吉Jr.が入ってる割には少し小振りか?」
「…木吉Jr.って…。」
「…若松はどうだ?」
「…え?!?俺っすか!?」
名前を呼ばれ、ビクッとした若松だったが、自分も大人しく腹を差し出した。
「……ん?…若松の腹の出方は俺のと似てるな…。」
「…似てるんすか?」
「…俺の、触ってみるか?」
「…あ、じゃあ…。」
若松が笠松の腹に触ると「…俺もいーっすか?」と日向が手を差し出したので「…おう、いいぞ。」と返事を返した。
腹を触られたままの若松は、顔を真っ赤にして「…なんか、これ…スゲェ恥ずいっす…。」と呟いた。
その言葉を聞いた桜井が、微笑ましそうにクスリと笑う。
それに気付いた若松は「…桜井、お前今、笑ったろ…。」と赤い顔で睨んだ。
「…あぁ!すみません!若松さんを笑ったんじゃないんです!何だか皆幸せそうだなって思って…!笑ってすみません!!」
「…そう言う桜井君は、双子ですから、流石に大きいですね。」
黒子がふむ、と言いながら桜井の腹を触れば、それを見た降旗が「うわっ!本当に大きい!」と声をあげ、皆の視線が桜井の腹に集まる。
「……前に会った時よりも一段とデカくなったなぁ…。」
「…スッゲー真ん丸!急にデカくなってねぇ?」
「…そうなんですよ。…笠松さんと高尾君には頻繁に会ってますけど、ここ数日で急激に大きくなってしまって…。」
「…これは見事な大きさだな…。」
「……腹、重そうだな。…高校の時の細い桜井からは想像もつかねぇな…。」
そう言いながら、日向と若松も大きな腹を労わる様に摩る。
「…苦しくはないかい?」
優しく氷室が問い掛ければ、桜井はニッコリと笑った。
「…家事をするのは大変ですけど、でも、この重みが嬉しいんです。二人にお腹を蹴られる度に、大輝さんと僕の赤ちゃんが、お腹の中にいるんだなぁって実感できて、幸せなんです。」
その言葉に、嫁達は頷いた。
「…確かにそーだよな。妊娠なんて、限られた期間にしかできねーし、この重みが幸せの証だよな!」
高尾がニッと笑えば、皆もそれに応える様に笑顔になった。
その時、丁度店員がやって来て「…お待たせ致しました」と言いながら、テーブルの上に注文したパンケーキを並べていく。
次々と運ばれてくる料理を見て、嫁達の瞳が輝いた。
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