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甘いパンケーキと楽しいお話し
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その2つ隣の席では、嫁組の行動と会話を盗み見ていた旦那達が、にやける口元を必死に隠していた。
「…桜井と高尾はええ事言うなぁ…。」
「…当然なのだよ。」
「…何で緑間っちがドヤ顔なんスか…?」
「…大輝も、随分と良に愛されているじゃないか…。腹立たしい…。」
「…おい、赤司…本音漏れてるぞ…。」
フンと腕を組む赤司に、思わず青峰がツッコんだ。
「…ホンマ腹立たしいわ。…何で桜井みたいなええ子が、こんな我侭な暴君を選んだのか理解できへん。他にもえぇ男はぎょーさんおったのに。」
「…その意見には賛同するのだよ。」
「…確かにその通りっスよねー。」
「…桜井って変わり者~?」
「…ザリガニ馬鹿に桜井君は勿体無いです!ってテツヤがいつも言ってるぞ。」
「…はは、お前達、そんな本当の事言ったら青峰が傷付くだろー?」
「…木吉、それ、傷に塩ぬってるで…。」
「…お前ら、そんなに俺と良を別れさせたいのか…。」
青峰のこめかみに青筋が浮かび、これ以上弄るとまずいと判断したキセキ達はさり気なく話をそらした。
「…しかし、…嫁達があの腹を触り合うってなんか…ヤバイな…。」
「…確かに…ヤバイよな…。」
「…あぁ~戯れてるとこ、近くで見たかったっス!」
「…貴様ら、まさか変な事を想像していないだろうな…?」
口元を抑える火神と青峰、そして、く~っ!と悶える黄瀬に緑間は冷たい視線を向けた。
「…変な事なんて想像してないっスよー!ただ、純粋に戯れが可愛いと思っただけっスよ!」
「……違う見方で2度楽しめるな…。」
「赤司!お前っ!」
「…冗談だ真太郎。」
「…にしても、皆いい子だなぁ。」
「…当たり前や、それぞれの自慢の嫁やで。良い所なしに男娶ったりせーへんやろ。」
「…それもそうだなぁ。…順平は辛口だが、いー嫁さんだぞ。」
「…木吉、ノロケは要らへんよ…。」
「…ねー…てゆーかさぁ、パンケーキ遅くなーい?俺、お腹すいたー…。」
「…紫原!狭いんだからテーブルに突っ伏すなって!」
「…じゃあ、火神がどっか行って…。」
「無茶言うな!!」
纏まりのないチームに、緑間が深い溜息をひとつついた。
色とりどりのフルーツと、たっぷりの生クリームがのったパンケーキをフォークで小さく切り、口の中に頬張ると「…ん~!めっちゃ美味しい!」と降旗が頬を抑えた。
「…これは美味しいですね。バニラアイスとの相性もバッチリです。」
「…黒子、アイス4個ってトッピングし過ぎだろ!」
「…バニラアイス、いけますよ。日向さんも追加してみたら如何ですか?」
「…いや、俺はフルーツだけでいい。」
とろ~りと、パンケーキに蜂蜜をかければ、甘い香りが広がって、皿の上は黄金色に輝く。
笠松は甘く煌めく色をジッと見つめた。
「…ヤバイ!笠松さんが旦那の蜂蜜色に見とれてるwww」
「…な!高尾っ!違う、違うからな!ただ、俺は美味そうだと思って…!」
「…笠松さん、そんな真っ赤な顔で否定しても意味ないっすよ。」
「…若松!お前~!」
「…俺は旦那の色に見とれてしまう気持ち分かるよ。俺も気付くと、紫色をよく見てるからね。」
「…あ、…それなら僕も同じです。…何か買おうとすると、自然と青色に手が伸びるんです。」
「…ま、そ~言う俺もそうなのだよ。服とか小物とか、どーしても緑になっちゃうんだよな。」
「…俺も赤ばっかり目に付くかも…。」
「…お前らはどーなんだ?」
笠松が、日向と若松、そして黒子を見た。
「…俺はそーっすね…。あんまり気にした事はねーけど…良く考えたらキツネのグッズに目が行くかも…。」
「…フフ、目が行くって事は、やっぱり若松君も、今吉さんをキツネっぽいって思ってたんじゃないかな?」
「……言われてみると、確かにそうかもしんないっすね。」
氷室に指摘されて、若松は笑った。
「…僕の場合は、食べ物屋さんをチェックする様になりました。」
「…それは火神のため?」
降旗に聞かれて黒子は「はい」と答える。
「…大我君は沢山食べるので、少しでも安くて美味しいお店をと思いまして。…それで気付いたらいつの間にかお店をチェックするのが日課になっていました。」
「…それと、僕達の家は何故か最近水色だらけです。」
「火神もキセキ色に毒されているwww」
「…日向はどうだ?」
笠松に問われて、日向は少し考えて口を開いた。
「…テーマカラーとか、キャラはないっすけど、買い物に行ったりすると…これ、あいつ好きだよなぁて思って無駄に買い物カゴに入れたり、自分の服を見てても、いつの間にか鉄平の服を買ってたりしますね。」
「…フフ、やっぱり皆同じだね。…俺も直ぐに敦の物ばかり見てしまうんだ。」
「…そうですね。僕も大我君の好きな物ばかり見てしまいます。」
嫁達は全員笑顔で頷いた。
「……ところで、高尾くん…、1つ気になる事があるのですが、いいでしょうか?」
「…なに?黒子。」
「…君の隣に座っている大きなパンダのぬいぐるみは何ですか?」
「…あぁ、これ?…これはまぁ、例のアレだよ。」
「…やはり、例のアレでしたか。」
それだけで伝わった黒子はハァ…と溜息をついた。
「……例のアレってなんだよ?」と日向が代表して質問すると、高尾が「…本日のおは朝占いによる、真ちゃんのラッキーアイテム!なのだよ!」とドデカイぬいぐるみを抱き寄せた。
「…緑間君ってまだラッキーアイテム持ち歩いているのかい?」と氷室が驚けば「真ちゃんは筋金入りのおは朝信者なんでwww」と笑った。
「…こんな大きなぬいぐるみまで、あるんですねー。」
「…このビッグシリーズ、パンダだけじゃないんだぜ。他にもウサギとかネコとかキリンまであんのwww」
「…わぁ、それは見たいです!」
「…じゃあ、今度桜井が家に来た時見せるよ。後はコスプレ衣装なんかもあるぜ。…貸そうか?」
「…高尾、コスプレ衣装なんて、何に使うんだよ…。」
「…そんな事、決まってるじゃないっすか!笠松さんてば!www」
「huuー!!その衣装で愛を育むんだね❤︎」
氷室の大きな声に、隣にいた若松がビクッ!と肩を揺らして「……氷室さん、ノリノリっすね…。」と若干引き気味で言った。
「…まぁ、それは冗談っすけどねwww…コスプレ衣装も、れっきとしたラッキーアイテムの1つなんすよ。」
「…おは朝はとんでもないモノを言い出しますからね。」
黒子が少し遠い目をして過去のアイテム達を思い出していると「…おは朝はマジ鬼畜だかんね~www」と高尾も家にある品々を頭に思い描いて笑った。
「……おっと、話し込んでる間にパンケーキが冷めちまう!お喋りはこれぐらいにして…、この後買い物もあるし、先に食べようぜ!」
高尾が場の雰囲気を壊さずに明るい声で言うと「そうだな。」と皆手を動かしはじめた。
一方、少し離れた旦那組の席では盗み聞きを終えた男達が、一斉に食事を再開したが、誰も話す者はおらず、ある者は優雅に、ある者はガツガツと一心不乱にパンケーキを食べている。
花や蝶が飛び回りそうな穏やかな嫁グループとは反対に、旦那グループは蝙蝠や骸骨が出てきそうなドンヨリとした緊迫ムードが漂っていた。
長身のイケメン達が、赤とピンクの愛らしい店内で、暗い顔をしながら生クリームとフルーツにデコられた可愛らしいパンケーキを黙々と食べているその光景は、店内を大きく座喚かせた。
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