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旦那の嗜みと似てる着ぐるみ
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それから30分、嫁達はずっと同じ場所で、キャッキャと楽しそうに服を選んでいる。
旦那は近くにあったベンチに腰掛けて、その様子を眺めていたが、痺れを切らした火神がついに口を開いた。
「……買い物…長過ぎだろ…。服を選ぶのにどんだけ掛かってんだよ…。」
「……ホントに遅いよー…。俺、お腹すいたし~…。」
「…まぁ、そう言うなよ。お二人さん。…皆楽しそうじゃないか。」
イラつく2人を木吉が宥めると黄瀬と赤司がフンと笑った。
「…何言ってるんスか!旦那が待つのは当然っスよ!」
「…涼太の言う通りだね。…嫁の買い物を待つのは旦那としての嗜みだろう?…大輝と真太郎を見習いなよ。」
「…青峰と、緑間だぁ?」
凛々しい眉に皺を寄せながら、赤茶色と紫の頭を横に動かすと、そこには巨大なパンダを背後に置き、美しい姿勢で本を読む緑間と、だるそうに脚を組んでスマホを弄る青峰の姿があった。
皆の視線に気付いた青峰が、顔を上げると「……なんだよ?」と不機嫌そうに言った。
「……いや、大人しく待ってるから意外で驚いた。…お前が一番最初にキレそうなのにな…。」
「…峰ちん、なんか変なもの食べた~?」
「……火神、紫原…テメーら喧嘩売ってんのか?」
「…まぁ、確かに不思議ではあるなぁ。…高校の頃やったら、大人しゅう待ってるなんて、考えられへんわ。」
「……うっせーな!俺はただ、良のペースに合わせてるだけだ…!」
「…青峰が他人に合わせられる様になるとは、驚きなのだよ。」
「…んだと!このクソ眼鏡!!」
「…ってか、緑間っちがそれを言っちゃうんスか?」
「…はは、みんな仲いいなぁ。」
『仲良くねぇ!!(ないのだよ!)』
言い合いしながらも、仲の良さそうな小競り合いを見ていた赤司が、柔らかい口調で再び口を開いた。
「……大輝は良と暮らす様になってから随分と変わったよ。」
「…そう言う赤司や他の奴らだって、随分変わってんだろーが。」
「……確かに、そーっスよね。…あの頃はみんな他人を遠ざけて、一線引いていた感じだったのに、今は父親になって、こうやって笑い合ってるんスもん。これって凄い事っスよ…。」
「……全て、嫁達のおかげなのだよ。」
穏やかな光を宿したカラフルな瞳が、一斉に前を向いてそれぞれの嫁達を捉えると、仲良く戯れていた嫁達が視線に気付いて手を振ってくる。
旦那組は少し照れくさそうにしながらも、デレデレと手を振り返した。
「……いや、しかしホンマ目の保養やなぁ。」
「…あぁ、かわい子ちゃんが揃ってるっていいな。」
「…木吉さん、鼻の下延びてるっスよ。」
「…意外にムッツリなのか?…です。」
「自分ではそうは思わないんだけど、順平には良く言われるな~。」
「1番ムッツリなのは緑間だろ。」
「お前に言われたくないのだよ!青峰!」
「俺はムッツリじゃねぇ!オープンなスケベだ!」
「青峰っち!そこは威張るところじゃないっスよ!」
「……峰ちんサイテー。」
「…僕は時々、良が可哀想に思うよ…。」
「…桜井のやつ、ホンマにこんな旦那でええんか?…不安になるで…。」
「赤司と今吉サンは人のこと、とやかく言えねぇだろ!腹黒コンビ!!」
こちらの様子を見ていた嫁達が何やらクスクスと笑いあっている。
「…あ、みんな笑ってるっスよ。…幸男さん可愛いっス~❤︎…抱きしめて、照れた顔が見たいっス❤︎」
「…順平も今日はご機嫌だなぁ。…はにかんだ顔が可愛いぞ。」
「…怒った時と、恥ずかしがってる時のギャップがまた可愛いんスよね~。」
「…お、黄瀬もそう思うか?」
「…木吉さんもっスか?」
「…おう。…順平は1日の殆どを怒ってるけど、何回かは照れるんだよ。…その真っ赤な顔が可愛くてなぁ。」
「そうっスよね!羞恥心に耐えてる顔がまた愛らしくて堪らないんスよね~!」
「その時に照れ隠しで悪態付くのもいいよな。」
「それもイイっスよね!最高っス!」
「…孝輔のやつ、慣れない雰囲気に緊張しとるなぁ。…でも、嬉しそうやわ。…ええなぁ、あの顔。…めっちゃ泣かせとうなるわ。」
「……アンタの愛情表現って、歪んでるよな…。」
「…僕はその意見には賛同するよ。…光樹の泣き顔は可愛いからね。つい、泣かせたくなってしまうよ。…大輝は違うのかい?」
「……まぁ、良の泣き顔は…なんか、グッとクルもんがある…。」
「…ククッ…。なんや、結局青峰も同じ穴の狢やないか。」
「……うるせぇ!」
「…室ちん、今日はたくさん笑ってる~。」
「…テツヤもスゲー嬉しそうだな。」
「………黒子の表情は変わっていないのだよ…。」
「…あぁ?…ちゃんと見ろよ!めっちゃ嬉しそうじゃねーか!」
『……いや、変わってないし。(のだよ)』
「……ってか、さっきから高尾のやつ、室ちんに触り過ぎじゃない?」
「…何を言っているのだよ。和成に引っ付いているのは氷室さんの方だろう。」
「……室ちんは気を許した相手には、誰にでもああなの…。」
「……まぁ、辰也は帰国子女だからな。スキンシップが多いのは仕方ねーよ。」
「…和成はフレンドリー過ぎるのだよ…。」
話している側から高尾と氷室、黒子が密着して、3人は面白く無さそうに顔を顰めた。
一方、嫁チームは…。
「……あれ?旦那組、何か楽しそうだね。…征十郎が満足そうな顔してる。」
「…翔一さん、なんか…したり顔してるな。」
「…ふふ、…大輝さんははしゃいでますよ。…皆さんで何を話してるんでしょうね。」
「…木吉と涼太が一緒に居るなんて珍しいな。」
「…そうですね。…なんかやけに盛り上がってる感じですけど…。」
「……何か、嫌な予感しかしねーな…。」
「…そーっすね…。」
「……何やら大我君と、緑間君と紫原君が納得いかない顔をしてますよ。」
「……あー…あれは真ちゃん、ご機嫌斜めだわーww」
「…敦も拗ねている様だね。」
チラッと3人で目を合わせると、手にした服を見せ合う様に背中や腰に手をまわして密着した。
その瞬間、旦那達の顔が更に不機嫌差を増していき、嫁達はクスクスと笑う。
「…ほんっと、真ちゃんって分かりやすくて可愛い❤︎」
「…敦はハムスターみたいに膨れて、愛らしいよ。」
「……大我君は、相変わらず天使みたいな素直さです。」
旦那組の様子を観察していた笠松だったが、これ以上待たせるのは流石に悪いと思い、皆に声を掛けた。
「…みんな、服は決まったか?…あいつらが痺れを切らしてるから、そろそろ切り上げるぞ。」
そう呼びかければ、嫁達は選んだ服を手に、笠松の元へ集まると、ムードメーカーの高尾が「…ジャーン!これ見てよ!」と手にした緑色の着ぐるみを差し出した。
高尾の手には可愛らしいヘビの着ぐるみが握られている。
「…高尾君はヘビの着ぐるみを選んだんですね。」
「…そ!…でもただのヘビじゃないんだぜ?…見ろよ黒子、ここの下まつ毛!」
指をさされた大きな緑色の目にはチャームポイントの下まつ毛が綺麗に生えていた。
それを見た嫁達は必死に笑いを堪える。
「スゲー真ちゃんぽいっしょ?www」
「…それは緑間君で間違いありませんね。」
真顔で太鼓判を押す黒子に、全員が堪え切れずに吹き出した。
「……あー、腹痛てぇwww……そう言う黒子は何を選んだんだよ?」
「…僕ですか?…僕は虎を選びました。」
小振りな手には虎の着ぐるみが握られていた。
「…ハムスターと迷ったんですが、やっぱり大我君は雄々しいイメージかと思いまして。」
「…大我は昔から頬袋いっぱいに食べ物を詰め込む癖があるからね。ハムスターと迷うのも分かるよ。…俺もリスかクマか迷って結局クマにしたんだ。…敦は大きいし、常に何か食べているし…。それに寝てばかりいるからね。」
その時、誰かが「…あ…。」と声を上げた。
その声の持ち主に「…どうなさったんですか?日向さん?」と桜井が声を掛けると、日向は「…いや、実は…」と言いづらそうに話し出した。
「……俺も鉄平の事がクマっぽいって思ってたから、氷室さんと被るなと思って…。」
「…確かに木吉さんも大きいし、雰囲気がクマっぽいかも。」
降旗が大きく頷くと「…では、こうしませんか?」と言って、いつの間にか2着の服を手に持った黒子が現れた。
「…こちらに、シロクマと茶色のクマの着ぐるみがあります。木吉さんは髪や目が茶色ですから、こちらの茶色のクマを日向さんが…こちらのシロクマを氷室さんがお買い上げになると言うので如何でしょうか?」
「Brilliant idea!!」
「それなら問題ねーな。」
氷室と日向が納得していると「…いつの間に洋服を…」と影の薄さに見慣れないメンバーは驚き、高尾は「…黒子、お前は店の回し者か!www」と爆笑していた。
「…桜井は何持ってきたんだ?」
突如、若松に腕の中を覗かれて、桜井は慌てて手にしていた2着の洋服を広げた。
「…僕は黒猫と白猫にしました。…本当は黒豹みたいなカッコイイのを探していたんですが、売っていなかったので…。」
「…へぇ、いいんじゃねーか。」
「猫可愛いよ!桜井の赤ちゃんに似合いそう!」
「Black pantherの子供はKittenと言う事だね!」
若松と降旗に褒められて、桜井は照れた様に微笑んだ。
「…若松と降旗も持ってきたか?」
笠松が問えば「…うす。」「はい!」と返事があって2人は服を差し出した。
「……俺はキツネにしました。」
「俺はライオン!…なんか強そうだし。」
「……2人共…納得のチョイスだな…。」
笠松の言葉に全員が頷いた。
「……因みに笠松さんは何を持ってきたんすか?」
日向に聞かれ「…俺か?」と答えながら、腕に掛けた服を広げていく。
すると、可愛らしい犬の着ぐるみが現れた。
「……涼太はやっぱりこれだろ。…ゴールデンとかの大型犬。」
「流石笠松さんです。…駄犬なら彼にぴったりですね。」
「…黒子、笠松さんは『駄犬』とは言ってないwww…でも、まぁ…黄瀬って笠松さんに忠実に尽くしてるし、人懐っこいから確かに犬のイメージかもな。」
笠松はぐるりと辺りを見回し、全員が服を選び終えた事を確認すると「…よし、じゃあ、あいつらの所に戻るか。」と言って、歩き出した。
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