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【オマケ小説】火黒夫婦と赤降夫婦の過去
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【火黒+赤降】火神と黒子、赤司と降旗の過去
「…わぁ、見てよ黒子!美味しそうなご飯がいっぱいあるよ!」
「…本当に沢山ありますね。レトルト食品だけでもこんなに種類があるなんて、驚きました。」
「…俺は料理下手だから、こういうのに頼っちゃうかも…。」
「…僕もですよ。料理をしてくれるのはいつも大我君ですから、離乳食なんて作れません。」
ベビーフードのコーナーで、離乳食を物珍しそうに眺めている小振りな2人の背中を少し離れた位置から火神と赤司が見守っている。
「……テツヤは相変わらず料理が下手なのかい?」
「……あぁ…。相変わらず、ゆで卵しか作れねーな…。降旗は…?」
「…最初は目玉焼きだけだったが、花嫁修行をやらされているうちに、少しは上達してきたよ。」
「…花嫁修行ってなんだよ?」
「…我が家に代々伝わるくだらない伝統の1つさ…。そんな事をする必要は無いと、僕は言ったのだけれど、光樹はやる気でね…。寧ろ参加出来るのが嬉しいらしい。」
「…花嫁修行に参加出来るのが嬉しいのか…?」
「…そうさ…。修行に参加出来ると言う事は、光樹が母に嫁として認められたと言う事だからね。」
「…なるほどな…。お前んち、色々と厳しそうだもんな…。」
「…古い格式のある家と言うのは何処もそうさ…。その為来りのせいで、僕は光樹を失いかけたんだ…。」
「…失いかけたって…マジかよ…。」
驚く赤茶色の瞳をオッドアイの瞳が呆れた様に見ると「……本当の事だよ。…嘘を付いて僕に何のメリットがあるんだい…。」と溜息をついた。
「……何があったのか知りたそうな顔をしているね、大我…。」
「…うっ…。」
「……教えるのは構わないが、但し条件がある。」
「……条件って、なんだよ?」
赤司は腕を組むとフッと笑った。
「……それは勿論、君達の過去を僕に話すことだよ。」
「…俺と、黒子の過去か…?」
「…そうだ。君達だって、この結婚は一筋縄では行かなかっただろう?」
「……まぁ、な…。」
「…なら、その出来事を僕に話してくれ。…そうすれば、僕も光樹との事を君に話そう。」
火神は少し考えると「…分かった」と頷いた。
「…決まりだね…。なら、僕から話そう…。長くなるから手短にいこうか…。」
そう言うと、赤司は語りだした。
「…さっきも言った通り、僕の家には様々なくだらない為来りがある。…その中でも、次期赤司財閥を継ぐ後継者を産む女性…即ち嫁選びは最重要事項とされ、慎重に選ばれるんだ。…その為、本来であれば親が決めた数人の候補の中から花嫁を選ばなければならないのに、僕はその候補者達を蹴散らし、光樹を花嫁として実家へ連れて行ってしまった…。」
「……それって、スゲーヤバイんじゃねーか?」
「…とても危険な事さ…。けれど、光樹と夫婦になる為には、それは決して避けられない道だった。」
「…僕はすぐ様呼び出され、親族会議にかけられた。…子供の産めない男の嫁など何の意味がある、一族の恥を晒すな、と散々罵られたさ…。」
「……嫌なヤツラだな…。」
「……僕も、黙ってそれを聞いていた訳じゃない。…それならと、こちらから僕らの結婚を認めさせる条件を出したんだ。」
「…条件…?」
「……そう。…1つは、2年以内に僕が赤司財閥の売上高を5倍にできたら、取締役社長の座を僕に譲る事…。そしてもう一つは、光樹が懐妊したら、花嫁として我が家に向かい入れ、結婚を認めること…。この2つさ…。」
「……じゃあ、あの妊娠出来る機械は…」
「……そう。全ては無能な親族共に、光樹の存在を認めさせる為に開発したんだ…。…勿論、それだけじゃない。妊娠属性機の開発により、赤司財閥の名は更に世間に知れ渡って、様々な企業と提携を結び、足場を固める目的もあった。」
(…やっぱりコイツ、ただ者じゃねーな…。)
火神は無意識にゴクリと息を飲んだ。
「…妊娠属性機の開発も成功し、赤司グループも急成長して、全てが僕の思い通りになっていたのに…1つだけ、誤算があったんだ…。」
「……なんだよ、誤算って…?…お前でも間違えたりするのか?」
「……僕は目先のことで頭がいっぱいで、直ぐ側にある現実が見えていなかった…。…僕が例の条件を満たそうと躍起になっている間…光樹を一人きりにして、寂しい思いをさせてしまったんだ…。」
降旗は、愛おしい小さな背中を、ジッと見つめた。
「…ある時、光樹にこう言われたよ…。『…征十郎は変わってしまった…。昔の様に笑ってくれないなら、結婚なんてしなくていい!…だから、優しい征十郎に戻ってよ!』ってね…。」
「…その時、僕は何かから目が覚めたんだ…。光樹と幸せになる為に始めた事が、逆に光樹を苦しめる結果になってしまった…。」
「…大声で泣き叫ぶ光樹を見て、僕は初めて後悔したよ…。そして、もう2度と泣かせないと誓ったんだ…。」
「……そんな事があったのか…。」
火神がしんみりと降旗を見ると、今の彼は、そんな事など無かった様に黒子と共に明るく笑っている。
「…それからの僕は何をするにも光樹が最優先で基準さ。…もし、彼が日本を海に沈めてくれと言ったら、僕は迷いなく願いを叶えるよ。」
「…おい!サラッと恐ろしい事言うなよ!」
「…例えばの話しさ…。」
「…でも、まぁ、降旗がああやって笑ってるって事は、今は順調ってことだよな。」
「…あぁ、全て順調だよ。口煩い親族共も黙らせたし、僕も無事代表取締役に就任した。…そして光樹も子供を授かって、今は母と共に花嫁修行中だ…。」
「……後は、我が子の誕生を待つだけだよ…。」
降旗を見つめながら、フッと優しく笑う赤司の顔を見て(…そんな顔も出来るのか…)と火神が驚いていると、真顔に戻った赤司が、火神に振り返る。
「……さぁ、今度は大我の番だよ。…テツヤとのストーリーを聞こうじゃないか。」
「……うっ…。…storyって言われても、俺達は赤司達ほど凄い過去なんてねーよ…。」
「……僕にあれだけ語らせておいて、自分は話さない気かい…?」
ギラリとオッドアイが光って火神は広い肩をビクリ!と浮き上がらせた。
「…い、言わねぇとは言ってねーだろ!…ただ、そんなスゲーstoryはねぇってだけだよ!」
「…出来事の大小を求めてはいないよ。…ただ2人の過去が知りたいだけだからね。」
「……あー…、どっから話すかなぁ…。」と赤茶色の髪をくしゃりと混ぜた。
「…お前達がやった記者会見を見てよ、俺達もそれぞれの親に改めて挨拶をしに行こうって事になったんだよ。」
「…最初にテツヤの両親に結婚と妊娠の報告をしたら『きっとそうなるんじゃないかと思っていた』って意外とアッサリOKくれて、こっちが驚いた。」
「…テツヤのご両親はテツヤと同じでドライだからね。」
「…けど、問題はアメリカに居る俺のオヤジだったんだよ…。」
「……2人の仲を反対されていたのかい?」
「……あぁ。…昔、電話でテツヤと付き合ってるって言ったら、猛反対されてな。だから、同棲してる事すら言って無かった。」
「…その後、テツヤが妊娠してるって分かって、籍も入れた。…だから、今度は直接アメリカに行ってオヤジに会ってきたんだ。」
「……これは人波乱有りそうだね。」
赤司は足を組み直すと、静かに耳を傾けた。
「…行き成りオヤジの目の前に現れて、テツヤが妊娠したって言ったら、ぶん殴られた。…それから直ぐに部屋を追い出されて門前払いだ。…でも、俺達は諦めないで毎日オヤジの元に通ったんだ。」
「…そんなことを数日繰り返してたある日、俺がアメリカに戻って来てると知った現地の友達が遊びに来てくれてよ、その中に…その…」
言いづらそうに口どもる火神の代わりに赤司が言葉を発した。
「……付き合っていた女性がいたんだね。」
「……あぁ…。…元カノがいたんだ…。マリアって言うんだが、俺に会うなり、マリアが行き成り抱きついてきて……その…あれだ…」
「…テツヤの目の前で、熱い抱擁の後、唇にキスされたんだろう…。」
「……うっ……」
「……浮気は感心しないよ、大我…。」
フウ、と溜息をついて、冷たい視線を火神に向けると「浮気じゃねぇ!!不可抗力ってやつだ!!」と火神が怒鳴った。
「…冗談さ。…ほら、続きを話してくれ。」
「……ったく…。…んで、そん時はテツヤにちゃんと元カノだって説明して誤解は解いたんだが…、それからマリアがしつこく俺達に付き纏う様になっちまってよ…。『俺達はもう別れてるんだぞ』ってキッパリと言ったら泣かれちまうし、本当参ったぜ…。」
「…それで、どうやって彼女を納得させたんだい?」
「…最後に2人きりで一緒に飲んでくれたら諦めるって言うから、それもちゃんとテツヤに説明して、許可を貰ってから飲みに行ったんだよ…。」
「………大我…僕は何となく先が見えてしまったよ…。…まさか、定番のオチでは無いだろうね…?」
「…あーそうだよ!その定番のオチってやつだ!!」と開き直った様に言うと、赤茶色の髪をくしゃりと混ぜた。
「……目が覚めたら、マリアの部屋に裸で寝てたんだよ…。」
「……やはりな…。」
「…でも、俺はウイスキーを一杯しか飲んでねぇし、おかしいと思ってマリアを問い詰めたら、薬を使って眠らせ、男友達に頼んで俺を家まで運んだと暴露した。」
「…けど、問題はここからだったんだよ…。」
「…彼女が何かしたのか?」
「……マリアがランジェリー姿で俺の上に股がる写真を、テツヤに送ってたんだ…。」
「……その女、やってくれるじゃないか…」
「…本当にな…。…それで、慌て宿泊先のホテルに帰ったが、既にテツヤは居なかった…。それからは知人やオヤジにも協力してもらって、街中を探したけど、見つからなくて夜になっちまった…。」
「…雨も降ってきちまったし、もう警察に頼むしかないと考えてた矢先に、路地裏でずぶ濡れになってるテツヤを見つけたんだ。…そのまま病院に行って検査したけど、テツヤも赤ん坊も無事だった。」
「…念のためにテツヤは2日ほど入院して、その間に皆で話し合ったんだ。…オヤジは折れて、俺達の仲を認めてくれたし、テツヤの妊娠を知らなかったマリアは泣きながら謝ってくれた。」
「……それでハッピーエンドと言うわけだね。」
「……まぁな…。」
「…なかなか面白いストーリーだったよ。大我。」
「……面白いって、お前なぁ…。」
火神が複雑な顔で赤司をみれば「…そう、睨むなよ。」と口元を上げる。
「…今が幸せだからこそ、こうやって過去の事も話せるんじゃないか。」
「……あぁ、そうだな…。」
前を向けば、そこには我が子を身篭った愛おしい嫁達がいて、こちらに向かって歩いて来る。
「…お待たせしました大我君。」
「…待たせてごめんね、征十郎。」
「……おう、大丈夫だ。」
「…いいよ、欲しい物は決まったかい?」
「うん、決まったよ!」
「…何やらお二人で仲良く話していた様ですが、一体何を話していたんですか?」
「…それは、だな…」
「……ちょっとした昔話さ…。そうだろう、大我…。」
「…お、おう!」
「…昔話?なになに?気になるー!」
「…後で話してあげるよ。…さぁ、もう時間だ。皆の所に戻ろうか。」
赤司は降旗の腰に腕をまわし、火神は黒子の手を繋ぐと、4人は待ち合わせ場所へと向かって行った。
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