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廊下で志真ちゃんを見つけた。
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用事が済んで、俺、夢野衛は、部屋に戻ろうとした。
昨日は、志真と楽しく話した。といっても、俺が笑って話すだけ。志真は、自分の話をしないし、笑わない。
そして、志真は、厄介ごとに巻き込まれやすいのだということも、改めてわかった。
それに、とても鈍い。もしかしたら、俺が今まで説明したことも、正しく理解してないかもしれない。
いつも、志真の部屋にお邪魔してるから、今日は俺の部屋で、ご飯でもご馳走しながら、もう一度話した方がいいかもしれない。
そんなことを考えながら、寮の廊下を歩いていると、志真を見つけた。
自分の部屋に入ろうとしていたけど、何だか様子がおかしかった。
声をかけても、返事をしてくれなかった。
手には、手提げバッグがあって、髪は濡れていたので、大浴場へ行ったのは、すぐにわかった。
そして、もしかしたら、会長の入浴時間に被って、何かされたのかもしれない、と考えた。
会長の入浴時間は、2、3年生の間では、入りに行かないようにしようという暗黙の了解がある。前に、会長の入浴時間が知られた時に、親衛隊やファンクラブが殺到して大変なことになったのが、原因らしい。
だけど、それを志真に言う必要はないと思っていたけど、それは甘かったかもしれない。
少し、顔色と様子がおかしい志真を半ば強引に、部屋へ招き入れた。
まあ、部屋へ招くのは予定にあったのだけれども。
志真は、相変わらず俺の話を聞いているのか、何を考えているのか、わからなかった。
志真は、俺の部屋を見回していた。
そして、ソファーに座った。
俺も隣に座ったけど、いつもなら弾む会話が、弾むどころか喋りだしすら出来ない。
沈黙。
俺、沈黙とか苦手なんだよな……
「あ、俺、お茶入れるね。」
俺が立ち上がろうとしたら、志真が俺の服の端を掴んだ。
え?
そして、志真はそのまま俺の方に倒れてきた。
「おっとっと。志真?」
志真は目を瞑っていた。
寝ていた。
揺すっても、何をしても、志真は目を開けなかった。
全体重をかけられているとは思えないほど、志真は軽かった。
今日、ご飯食べたのかな……
俺は、とりあえず、志真をソファーに横たわらせた。
俺の服を掴んでいた手も、力が抜けたのかアッサリと離れた。
志真の寝顔を見て、思ったことがある。
志真は、笑わない。
楽しんでいるところは見たことがある、笑ってるところは見たことない。常に真顔で、楽しそうな声を出しても、顔を見ると笑っていない。
もちろん、怒った顔も見たことはない。
でも、今、志真が寝顔は、何だか……
「泣いてるの?」
泣いているような、悲しんでいるような、そういう顔。
おいおい、志真ちゃん。
何があったの?
そう聞いても、今は眠っている。
会長と何かあったのだろう。他にも、きっと生徒会役員と何かあったのかもしれない。
「俺に相談してもいいんだよー。」
志真の目から、涙が流れた気がしたけど、寝返りを打って拭い去られたのか、見えなくなってしまった。
俺は、決心をして、あるところに電話をした。
志真は、俺が守りたい。
何回かの発信で、その人は出た。
「あ、京谷さん。俺です。さっきの話ですけど___」
出来れば、志真には笑ってほしい。
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