アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
庭でやる優雅なスポーツ
-
俺と衛がもう嫌だ、と言う空気を醸し出しながら、グラウンドに向かうと、そこには笑って手を振る翼先輩がいた。
俺と衛は、驚いて翼先輩の元へ向かった。
「やっほー。やっぱり、2人仲良く死にそうな顔してるね。」
「翼先輩は、なんでいるんですか?!」
「なに?俺がいちゃダメなわけ?」
出たよ。翼先輩の嫌味な言い方。
「そんな顔しないでよ。俺はね、今から椿の応援に行くの。」
翼先輩は、笑いながらそう言った。
どうやら顔に出ていたらしい。
「椿先輩は、確かテニスでしたよね?」
「うん。だけど、少し時間あるから、遠回りしてみた。そしたら、ちょうど志真くんたち見えたから。」
「へー。翼先輩は試合ないんですか?」
衛はすっかり生徒会メンバーと親しくなっていた。というか、風紀委員なのに、生徒会役員と仲良いのもおかしなことなのだ。
うちの生徒会と風紀委員は、2大勢力だから対立してるはずなのに。
「あるよー。でも、椿の試合のあと。そんでもって、君たち1Aとだよ☆」
嫌になってきました。
知り合いが、特に生徒会役員の方とだけは、試合をしたくない。本当に。
「俺、次体育館行きたくなくなって来た。」
「同じく。」
俺たち2人はニコニコしてる翼先輩とは裏腹に、げんなりとした。
翼先輩は、きっと俺らの反応を見て楽しんでニコニコしてるんだから、タチが悪い。
「というか、衛くん。風紀委員の役員もテニス出るでしょ?見ないの?」
「京谷さんに、決勝は見に来いって言われました。あとは、見にいく予定はありません。」
「うわー。京谷さんも自信家だねー。それってつまり、決勝に自分が当然行くってことでしょー?」
確かに、衛に試合を見に来いっていうのはわかるけど、決勝だけってのは、明らかに自信の表れだよな。
まあ、あの風紀委員長だし、テニスの試合の決勝は、誰がやってても楽しいから、って言う意味では決してないと思うから、そうだと思うんだけど。
というか、風紀委員長もテニスなんだ……
そこでふと会長の顔が過ったのは、きっといつも2人が言い合いをしてるからだ。うん。
「あれ?でも、衛。風紀委員の役員って、風紀委員長だけがテニス出てるの?」
「ん?違うよ。確か、あと2人出てる。副委員長と書記が。」
ごめん。役名言われてもわかんない。
「その人たちのは、見に行かないの?」
「あー。俺さ、京谷さん以外の命令は基本聞かないの。だから、京谷さんが決勝は来いって言ってるんだから、あとは行かなくてもいいの。」
「……はい?」
「だって、あの中で、怖いのは京谷さんしかいないし。」
「でも、全員先輩でしょ?」
「そうだけど……それが?」
なんで?って顔しないでくれ。
俺には、衛の言っていることがわからない。
というか、怖いってなに?あとの人が怖くないってどういうこと?
「さっすがー。次期風紀委員長は、言うことが違うねー。それもある意味の京谷さん命令かな?」
「うちは、上に立つものがフラフラしてると、全校生徒に足元すくわれる委員会ですから。」
「でもね、衛くん。生徒会は宮がトップにいる限り、君を認めることは難しいよ。」
「わかってますよ。俺は、風紀委員としての仕事を全うしてれば、今は問題ないんです。」
ダメだ。
この2人の話についてけない。
翼先輩と衛は、お互いに意味深な笑みを浮かべてるし、俺は、全く意味わからないし、困ったな。
でも、これで1つハッキリしたことがある。
衛は、確実に来月から風紀委員のトップになるということ。
来月になれば、風紀委員長は衛になり、俺は、生徒会庶務になる。
お互いに、新たな肩書きを持つ。
来月になったら、変わってしまうんだろうか。
「あ!志真。時間ヤバい!急ぐぞ。」
「えっ?!あー、時間!」
「はいはいー。2人とも頑張ってねー。俺は、優雅に庭でやるスポーツ見てくるからー。また後でね。」
手を振る翼先輩を横目に、サッカーの試合会場へ向かう俺と衛。
走ってる時、俺は衛の横顔を見ていた。
こうやって並んで走ってられるのも、あと少しかな……
「なに?志真ちゃん。俺の顔になんかついてる?」
「ううん。なんも。」
「あそ。」
変わらないことなんて、この世に何1つない、だよな。
そうだったな、木暮……
いつまでも変わらないものがあったら、恋愛も犯罪も起こらないんだよな。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
53 / 190