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その19
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そんなこんなで相田家には8人のバスケ部の人間が集まった。
まず問題の火神。
そしてそれぞれの得意教科を火神に教えるための人物。
まず水戸部は理科担当。
伊月は数学担当。
黒子は国語担当。
日向は社会担当。
土田は英語担当。
そしてリコは総指揮。
さらにオマケのように立っている小金井。
だがよく見るとその手にはハリセンが握られている。
火神が寝落ちしかけたらはたく係だそうだ。
まぁここでいらないなんて言ってはいけない。
そして開催されたばかがみ学力アップ対策。
寝る間も惜しんで泣く泣く勉強をひたすらした。
学校にて。
ブツブツと何かをつぶやきながら暗記カードを捲っていく火神。
「大丈夫ですか?」
「………………死ぬ……。」
まぁ大丈夫ですかと聞いた本人が思うのもあれだが、黒子はだろうなと思った。
「マジで死にそうだけどなぜか昨日黄瀬からメールがきた。」
「あ、僕が教えました。メアド。」
「勝手に教えんなよ!」
叫ぶ元気があるから大丈夫だろうと思ったのは秘密にしておこう。
「……ちなみに黄瀬と緑間って勉強できんの?」
「緑間君は出来ます。黄瀬君はイマイチです。」
だいたい想像はできる。
「……まぁそのメールが、『言い忘れたけどウチはI・H出場決まったっスよ!早くリベンジされに来い!!』だったんだけどよ…。決勝リーグ勝たなきゃインターハイには行けねぇ…。勝ってもバカじゃインターハイでは勝てねぇ…。【キセキの世代】倒して日本一になるっつったのにこんなところでつまづけるか!」
寝不足で隈を作りながらも心を燃やす火神を見て黒子は少し笑った。
「火神君、もし、どうしてもダメだったらこれを…。」
「これは?」
黒子が手渡したもの、それは。
「緑間君が昔くれた最後の手段。湯島天神の鉛筆で作ったコロコロ鉛筆です。」
「いるか!」
床に投げつけた鉛筆はそのまま跳ね返って火神を狙ってきた。
「うおっ!」
「逆らうと攻撃されますよ。呪いがあるとかないとか…。」
「マジアイツなんなんだよ!?」
勉強会最終日を迎えたがどう頑張っても国語がイマイチ伸びず、リコは頭を悩ました。
結果、国語は捨てることに。
そのかわり、他の4教科で頑張らなければならない。
国語担当だった黒子にも手伝ってもらい、夜はあけていった。
が、4教科で挽回どころかどの教科もほぼ目標点に届かず気づけば5時間目の国語。
よりよって国語が最後。
しかし勉強しなかったわけではないのだ。
やってやろうではないか!
…………が。
終了のチャイムが響く。
見直しをしていた黒子は顔をあげて目を見開いた。
「……………火神君…まさか…。」
「うるせーよ…。50分ずっと鉛筆転がしてたよ……。」
なんの力も使い切ってないが精神力は削られたそうで机に突っ伏したまま火神は答えた。
翌日。
「火神!テストどうだった!?」
心配で心配でしかたなかったのだろう。
結果が返ってきたのを知って二年生全員が黒子達のクラスにやってきた。
「そ、それが………。」
結果が書かれた紙を見た日向のメガネが割れた。
305人中のまさかの90位。
よくよく見ていくと国語98点と書かれているではないか。
「一体どうやって…!?」
「いや、鉛筆転がしてただけなんで…。」
「はぁ!?」
頭にクエスチョンマークを浮かべるみんなに黒子は鉛筆を見せた。
「緑間君特製コロコロ鉛筆です。」
「なんだそれぇ!?」
「緑間怖えぇ!」
こうして全員補習はまぬがれた、が。
「うっ…うう!」
「ちょっと日向君何泣いてるの!?」
「………火神に負けた…。」
どんな結果であれまさか火神に負けるなんてと日向は泣いた。
その隣で。
「くっ!」
「火神も何泣いてんだよ!?」
「緑間に……負けた気がしてっ!」
テストの最終手段がまさか緑間に頼るような形になるなんてと火神までもが涙したのだった。
その日の放課後。
「ちなみにさぁ、黒子は何位だったの?」
「僕は35位でした。」
「え!?いや、充分すごいけどもうちょっと上行けたんじゃないのか?」
小金井の問いに黒子が答えると伊月が不思議そうに首をかしげた。
確かにと前回の中間テストの結果を思い出しながら皆頷いた。
「実は社会が0点だったんです。名前の書き忘れで。」
一瞬間があく。
「えええええ!?じ、じゃあ他は!?」
「全問正解でした。」
また間があく。
「ええええええええええ!?」
5教科全てで500点。
しかしまさかの名前の書き忘れという痛恨ミスで400点。
故に35位。
「………ち、ちなみに……その場合の答え合せって……。」
「一応してくれました。」
「他の間違いは?」
「無かったので名前さえ書いてあれば100点でした。」
つまりだ。
名前さえ、名前さえ書いてあれば500点。
1位だったのだ。
ホッとしたような惜しいと思うような…。
「つかそれって緑間のコロコロ鉛筆持ち歩くことなくね?」
火神がそういえば、と言う。
「あれは、折角緑間君が作ってくれましたから。お守りがわりに持ち歩いてるんです。」
恥ずかしいので内緒にしてくださいね?なんて頬を染めてちょっと首をかしげていう黒子を見て誠凛バスケ部は緑間死ねと思ったとか思ってないとか。
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