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その20
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誠凛高校から徒歩10分。
相田スポーツジムのプールから笛の音が響いている。
ついでに水が跳ねる音も。
なるほど。
水泳部か。
もしくはスイミングスクールか。
いやいや、誠凛バスケ部だ。
もう一度言おう。
誠凛高校男子バスケットボール部だ。
聞き間違いでも読み間違いないでもない。
彼らは体育館が使えない今日、リコの指示でこの場所に来た。
水着を持って来いなんておかしいと思った。
彼らは今必死で笛に合わせてスクワット中だ。
水中は浮力があるため体を痛めにくい。
が、同時に抵抗も大きいのでかなりキツイ。
よって体力があまりない黒子は……浮く。
違う意味で。
「黒子浮くな!つか死ぬな!」
ちなみに火神は秀徳戦で無理をしたせいで、一緒に練習はしていない。
「はい、1分休憩!」
休憩の声がかかりその場で息を整えていると入口付近から声がした。
「面白い練習してますねぇ。」
「………ぶっ!?」
そして吹き出した。
そりゃそうだ。
顔も声もスタイルも何もかもがいい美少女が立っているのだから。
ついでに巨乳。
ゴクリと唾を飲んでも可笑しくない。
と、黒子が少し目を丸くしながら口を開いた。
「桃井さん。」
「知り合い!?」
小金井が声を上げる。
「えっ…と…どちら様?」
リコが桃井と呼ばれた少女に尋ねると彼女は少し視線をさまよわせた。
「えーと、なんて言えばいいのかな……。テツ君の彼女です。決勝リーグまで待てなくて来ちゃいました。」
二つの句読点のところでハートがついていたのは錯覚ではないだろう。
「テツく…?」
「黒子テツヤ君。」
えええええええ!?
なんて声が上がる。
当然のことだ。
何たって誠凛の天使に彼女が、おっと間違えた。
何たって黒子にこんな美少女がいたなんて。
「黒子彼女いたの!?」
「違います。中学時代、マネージャーだった人です。」
「帝光の…?」
即答で返した黒子の発言に日向とリコは目を見開いた。
決勝リーグと言っていたということは、次の対戦校ということだろうか。
「テツ君!!」
プールから上がった黒子に桃井が抱きつく。
ここで皆は男子高校生たる思いを……
何がなんだかわかんねぇけど、いいなぁ黒子!
羨ましすぎる!死ねばいいのに!!!
なんて持つわけがなく…。
何がなんだかわかんねぇけど、いいなぁ桃井ちゃん!
俺ら同性の壁を乗り越えて抱きつけるんだもんなぁ、うちの天使に!
となるわけだ。
「いやいやいや、なんで黒子!?」
桃井のような子ならば黄瀬タイプを選びそうなものだ。
「えー、でも試合になると凛々しくなるところとかグッときません?あと……アイスくれたんです。」
黒子に抱きつきながら頬を染め、片手をその頬に染めてうっとりとして言った。
「……………はぁ?」
いや、本当にそれしか出てこない。
ある日、帝光中バスケ部の面子は部活帰りにアイスを食べて帰ることにした。
女子は桃井だけでアイスをみんなで食べている男子を羨ましそうに見ていたときだった。
「あの。僕もういらないんでこれあげます。」
渡されたのはアイスの棒。
イラっとこないわけがない。
ゴミくれるってどういうこと?なんて怒りながら棒を裏向けるとそこには『当たり』と書かれていた。
そして………………ハートを掴まれたのだ。
そのシーンを思い出してうっとりしながら話す桃井の横で黒子は頭上にクエスチョンを浮かべていた。
「だからホントはテツ君と同じ学校行きたかったの!けど、けどーーー!!」
泣き始める彼女に黒子は言った。
「桃井さん、プール内は響くので大声は控えてください。」
何この展開と思わざるを得なかった。
「な、何なのよあの子!そもそも、ちょーっと胸が大きいからってみんな慌てすぎよ、もう!ねぇ、日向くん?」
「う、うん…そだね。」
若干僻みが入っているのは置いておいて、話を振られた日向だがいくら黒子が天使だとしても桃井の驚異なスタイルをチラ見しないほどできた男でもない。
「チラ見してんじゃねぇよ!!!」
ボゴッなんて嫌な音とともに日向は水中へと消えていった。
「日向さん死んじゃいますよー。」
それを見た桃井が言うと、ちょうど顔を出した日向が驚いたと目を丸くした。
「なんで俺の名前…。」
問うと彼女はニッと笑った。
「知ってますよー。誠凛バスケ部主将でクラッチシューター、日向さん。イーグルアイを持つPG、伊月さん。無口な仕事人でフックシューター水戸部さん。小金井さんと土田さん。」
「あれ!?」
「そんだけ!?」
小金井と土田にはドンマイとしか言いようがない。
「そして……ギリギリBのカントク、リコさん。」
「ギャーーーー!!!ふっざけんなぁ!!!」
リコは完璧警戒心を持った。
「桃井さん、やっぱり青峰君のところへ行ったんですね。」
「……うん。テツ君と同じ学校行きたかったのは本当だよ?けど、アイツ放っとくと何しでかすかわかんないからさ。」
黒子の問いに桃井は寂しそうに言った。
同時刻、ストバスをしていた火神。
リコは休めと言ったがそうそうじっとしてられないのが火神だ。
が、ゴールを打とうとした瞬間足の痛みが広がった。
と、ゴールから外れたボールを拾った男がいた。
「おーおー、マジでいる。さつきの情報網ってやっぱすげーわ。」
「!?」
「火神大我、だろ?相手しろ。試してやるから。」
「あ?誰だてめぇ。」
風が強く二人の間をすり抜けた。
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