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その22
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桐皇学園の体育館でバスケ部は昼休憩をとっていた。
「いただきまーす。」
その言葉とともに開かれた桜井の弁当。
凝視せざるを得なかった。
何故なら、キャラ弁と言われる類のものだったから。
「可愛いな、おい!」
「妹のやつと間違えたとかか?」
若松の突っ込みの次に声を発したのは3年レギュラーの諏佐佳典。
レギュラーの中ではあまり目立たない。
高身長である事が外見唯一の特徴。
レギュラーの中での唯一のストッパーである。
「え、いや…スイマセン!でも自分で作ったから間違いとかではないです。」
「自分で作ったのかよ…。」
もう何を突っ込んでいいのか分からなくなった若松。
まぁ気持ちはわからなくない。
と。
「お、うまそーじゃん。」
背後から桜井のオカズをつまみ食いする男が現れた。
「あっ」
「青峰!」
「うーす。」
「お前午後はちゃんと練習出んだろうな!?」
若松の問いに青峰は軽くはは、と笑う。
「まっさかー。つかこれうめぇな。全部よこせ。」
「え、いやこれはっ」
「あ゛?」
「スイマセン!どうぞ!」
「桜井もやってんじゃねぇよ!」
若松が勝手な青峰に怒鳴ると、青峰を取り巻くオーラが変わった。
「…っせぇなぁ。出ろだの何だの。ちゃんとした理由がありゃいいのか? 」
皆息を呑む。
「堀北マイちゃんの写真集取りに来ただけだよ。んで、部室まで行ったら力尽きちゃった。から帰るわ。じゃ、お疲れー。あ、次から俺の弁当も作ってこいよ。」
「えっ」
「デコはマイちゃんで。」
「分かりました!スイマセン!」
「待てよ青峰!!」
体育館を去ろうとした青峰を若松は引き止め、彼の元まで行き胸ぐらを掴んだ。
「いい加減にしろよお前!!練習でろっつってんだろ!!」
別に怯むこともなく青峰は若松を見下ろす。
「今特にガッツ無くしててよ。だから一度は許してやる。離せ。」
「なんっ…ガッ!」
それでも離そうとしない若松の腹に青峰は膝を入れた。
「青峰!」
さすがに今吉も焦り、二人のもとへ来た。
「いやちゃんと言ったし。離せって。練習しろ練習しろ…。笑わせんなよ。良ー。俺前の試合何点とったっけ?」
青峰は近くに落ちているボールを拾いながら桜井に問うた。
「えっあの…82点です!」
持ったボールでドリブルを数回つく。
「練習ってのは本番のためにやんじゃねぇの?本番で結果出てんのに何すりゃいいんだよ?そういうのはせめて、俺より結果出してからっ」
青峰は喋りながらもダンクを決めた。
ゴールからバキ、なんてありえない音が鳴る。
「あり?」
青峰の手にはゴールが持たれていた。
「………っ」
驚きのあまり皆声すら出せずにいる。
「こうなったら今日の練習中止で良くね?えーと何言おうとしてたんだっけ…あー。俺より結果出してから言えよ。ありえねぇけど。」
そう言いながらゴールを投げ捨て青峰は体育館から出ていった。
「くそっ!」
蹴られた部分を抑えながら若松は立ちがある。
「大丈夫か?…すまんのう若松。」
「なんで主将が謝るんすか!」
「お前は間違ってへん。けど青峰にはなんも言わんとき。実力主義なんて珍しいことじゃないやろ。」
「けどっ」
「ゴルフのタイガー・ウッズって知っとるか?」
「は?」
突然ゴルフの選手を言われた若松は一瞬頭が回らなかった。
「じゃなきゃアレや。シャック。」
「シャキール・オニールっすか?」
今吉は頷くと二人について話始めた。
タイガーが物凄くボールを飛ばして勝ちまくるため、コースが伸びてクラブも飛び過ぎないよう、規制が出来た。
シャックもパワーが並外れていてわざとファウルをしてでも止めることが激増したため、ノーチャージエリアが出来た。
ノーチャージエリアとはオフェンスのファウルにならなエリアのことである。
スポーツの世界では一人の選手があまりに強過ぎるため、ルールすら変えたと言われてきた。
「稀にあんねん。物の例えとかじゃなく…反則的強い、そんな化物が。まぁ、そもそもウチはチームワークとかあんま関係ないやん。」
今吉の最後の一言は桐皇の選手を一瞬で納得させた。
「みんなー!決勝リーグ出場校全部出たわよ!」
練習していた休めてみんなはリコの元へ集まった。
「Aブロックはウチ。Bブロックは桐皇学園。Cブロックは鳴成。Dブロックは泉真館。この4校で代表を争うことになるわ。」
「桐皇と鳴成は…初めて聞くな。」
伊月の発言に何人かが頷く。
「なんか新鮮なリーグ表だな。去年までずっと東京代表は3代王者で決まりだったからな。」
日向が言ったことに小金井が反応する。
「…思ったんだけどさ、その王者2校も倒したわけじゃん?今年はもしかして、行けちゃうんでない!?」
「あっコイツ言いやがった!」
「だって桃井ちゃんと青峰がいる王じゃに負けても残り勝てば…」
「泉真館じゃないわ。あの二人が行ったのは桐皇学園よ。」
小金井を遮ってリコが言う。
一瞬静寂が訪れるが、すぐに体育館はザワついた。
「キセキの世代ってみんな強いところ言ったんじゃないの!?てっきり緑間みたく、王者の所かと…。」
「桃井って子の制服見て調べたから確かよ。」
「聞いたことねぇよ、正直!」
日向がそういうのも仕方ない。
桐皇学園の過去の実績はほとんどない。
が、最近スカウトに力を入れて全国から有望な選手を集めているそうだ。
「ここ数年で急激に力をつけてきてるみたいね。特に今年のメンツは秀徳と比べてもなんら遜色ないわ。」
「そんな…」
皆が呆然としていると「ウィース」と体育館の入口から声が掛かった。
「あ、火神!」
「おせーよ!」
「すっません。掃除ちょっと長引いて…。」
「ったく。ほら、リーグ表コピー!」
「ちょいまち!」
決勝リーグ火神と日向を止めたのはリコだった。
リコは火神の足に視線を移していた。
そして。
「…火神君、バスケ…した?」
「え、いや…」
「悪化してない?」
「いやーそのー…ちょっと…」
瞬間何かが切れた。
「こんのバカガミがぁぁぁ!!」
叫びながらリコは火神の頭を鷲掴みにした。
「すんまっだだだ!!」
「あっれっほっど、言ったろうが!その耳は飾りか!空いてんのはただの穴か!」
「イテテテテ!」
「とりあえず保健室行って湿布貰ってこい!今日は見学!ダッシュ、は無理だから逆立ちで行け!」
「えっマジで!?」
しかしここで逆らうと余計に怖いので火神は言われたとおり逆立ちで行くことにした。
黒子はそれを目でおっていた。
「火神君。」
渡り廊下で逆立ちで進んでいた火神は声がした方へと顔を向けた。
「…黒子。」
そして逆立ちをやめて、黒子の隣に並んだ。
「何かあったんですか?…火神君は馬鹿ですけど」
「おい!」
「なんの理由もなく無茶するとは思えません。」
「………青峰とやった。」
火神が言うと黒子は少し目を見開いた。
一方体育館では。
「ったくもー!」
「まぁまぁカントク。話戻そうぜ。とにかく初戦は?」
「火神君が不可欠だから怒ってんのよ!キセキの世代に対抗できるのは彼だけだからね!つまり、初戦は桐皇学園!いきなり大一番よ!!」
所戻って保健室までの道のり。
「そん時アイツはオマエの昔の光だと言ってた。ただ同じチームってだけの言い方には聞こえねぇ。お前ら中学の時何があったんだよ?」
「………………とにかく練習を長々と抜けるわけにはいきません。歩きながら話します。」
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