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その29
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第3Q開始直前。
両校がそれぞれのベンチへと戻ってきた。
それぞれスターターを決めてコートへと立つ。
この試合を見に来ていた緑間、黄瀬は目を見開いた。
「黒子っち…!」
「奴の顔色……良くないのだよ。」
「ホントだ。それでも勝つためにって事っスかね?」
「あぁ。どうしても誠凛として勝利したいのだろうな。」
「何もないといいけど…。」
第3Q開始と同時に客席が盛り上がった。
ボールは青峰。
マークは火神。
ついでに言えば青峰はアップを済ませ、体を温めていた。
気合はもちろん火神が上。
それでも一瞬のスキをついて青峰は彼を抜いてしまった。
フェイクをされたわけでもないのについていけない。
キレが違う。
すかさず水戸部がヘルプに入るがスピードの桁が違い、彼の動きがスローに見えるのだ。
点を決められてしまった誠凛は速攻で行くが、ゴール下まで先に走り出していた火神がボールを受け取り、ゴールしようとしたのだが、『つい先程まで反対側のゴール下にいた』青峰によって止められてしまった。
また誠凛のゴールまでボールを持っていかれ決められるかと思ったが、青峰が急にスピードを下げた。
「やっぱ性に合わねぇわ。生真面目なバスケは。」
そう言った青峰の雰囲気が変わった。
火神はそう感じたが、今の今まででスピードは掴めた。
今度は止めてやると身構えたが、彼は技を使わずにフェイクを使って火神を再度抜いた。
つまり、変幻自在のストリートバスケ。
日向、水戸部がゴール裏まで追い詰め、リコも貰った、と口角をあげた、が。
ゴール裏から青峰はシュートを決めてしまったのだ。
強引を通り越して滅茶苦茶。
青峰のバスケはセオリーが全く通じない。
バスケに限らず、どんなスポーツでもその歴史の中で洗練されてきた。
基本の動きがあり理想の型が出来る。
洗練され、無駄な動きがなくなったからこそ選択肢は限られ、逆に予測も成り立つ。
そこにオフェンス、ディフェンスという駆け引きが生まれる。
それが試合(ゲーム)なのだ。
しかし青峰は物心つく前からバスケットボールに触れ、大人達に混ざりストリートバスケをしてきた。
体の一部と化したボールハンドリングと天性のスピード、自由奔放なバスケスタイル。
シュートもドリブルも青峰に型はない。
無限にある動き。
故にDF不可能の点取り屋(アンストッパブルスコアラー)。
それがキセキの世代エース、青峰大輝。
その後も青峰はただ投げているだけに見えるようなシュートを決めるなど得点の差は開いていった。
次第に誠凛メンバーの心も折られていった。
そんな時だった。
「流石にやられっぱなしは腹が立ちます。」
青峰がシュートしようと構えていたボールはいつの間にか黒子の手に渡っていた。
青峰は驚き直ぐに取り返そうと試みたが、それをされる前に黒子はイグナイトパスを使って目で合図して走りださせていた火神にパスを出し、彼はダンクを決めた。
流石の青峰もこれにはついていけなかったようだ。
今吉が即座に青峰にボールを出そうとしたが、そのボールはまたも黒子がカットし、3Pラインな立っていた日向にパスを出した。
惜しくも日向の3Pは外れてしまったが、黒子がリバウンドしシュートを決めた。
これで少し精神を落ち着けた誠凛がディフェンスへと戻っている最中、黒子は火神と何かを相談していた。
桐皇もそしてベンチにいる誠凛メンバーもリコも誰もが驚いた。
青峰の目の前には黒子がいるのだから。
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