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《温泉に行こう》9
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「おーい、そろそろいいかー?」
アキラが声をかけてくる。
「オッケーです!」
手を振り大きく頷く瞬助。
「よーい、ドンでいい?」
アキラは首を傾げ、もうひとつ質問している。
小学校の運動会しか見たことがないので、可愛いスタートの合図しか知らないアキラ。
「いいっすよー」
瞬助は、にこやかに答える。
アキラは片手をあげて…息を吸い…
「なら…行くよー、……位置について、よーい…ドン!」
アキラの声と共に、一斉に走り出す5人。
みんな負けじと必死だ…
そんなに差は開かず、あっと云う間にゴールへなだれ込む。
「っうそー!?」
「はぁっ負けた!くやしーっ!つーか早っ!」
「マジ…俺が、最後かよ…」
みんな息をつきながら口々に言っている。
「みずき…早、1位おめでとう…」
アキラはすっとみずきに近づき、頬にキスを落としている。
なんと、1位は目立たないみずきだった…
「ありがとう…走るのは好きだから」
それにアキラが見てるから少しはいいところを見せたくて…と、ちょっと照れたようにみずきは笑って云 いう。
「うわー、びっくりした…正直、マークしてない人たちが早かったね、アキラ、はっきりした順位教えて!」
ルードがそう急かす。
「OK、1位みずき、2位幸田クン、3位コウジ、4位ルード、でドベはヨシ!」
「ドベって!わずかな差じゃねーかっ」
そうとう悔しかったのか手をぐーにして怒ってしまうヨシ。
「ははっ確かに近差だったよな…でも俺の勝ちっ!よかった、メシ代払わなくていいから。うーん…みずきも早かったけどコウジも早かったな、抜けなかったもん…」
ルードはコウジと接戦したらしく褒めている。
「くー、1位とるつもりだったのに、マジすげーっす、彼氏さん、くそー、まぁ、コウジに勝ったから…いっか」
「どーいう理屈なのさ…」
瞬助も悔しがっているようだ。
「どべヨシ、金持ってきてんのか?」
アキラがからかうように言う。
「るっせー!払やーいいんだろ!くっそー」
かなり不本意で言い返すヨシ。
「アキラとヨシ仲良く払ってね…」
ルードが笑いながら促してくる。
「仲良くって響き…ヤだな」
案の定、顔をしかめるアキラ…
ヨシも不服そうに頷く…
「さぁさぁ、旅館の方にいきましょーよ!走ったから温泉はいったら気持ちいいっすよ!」
瞬助がさっそく誘ってくる。
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