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愛のデート券 04
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部活動生が帰ったあとの放課後の学校は、とても静かで暗くて。
それでも、窓から流れ込んでくる夜風がとても心地よかった。
俺と孝太は戸締まりをして。
2人で静かな廊下を歩いていた。
「夕貴、どうせ今日も2人で帰るんだろ??」
篠原との約束のことを言っているのだろう。
でも、もう時刻は20時を回っている。
さすがにこの時間まで待ってはいないだろう。
「いや、たぶん今日は無理だろ。さすがにこの時間まで待ってないだろうし。」
「だよなー。でも、さすがにここまで遅くなるつもりはなかったんだけどな。」
「仕方ないよ。朝の会議が長引いて、放課後に回っちゃったんだから。」
「そうだな。」
そんな他愛もない話をしていると…
「あ、先輩。」
すごく聞き慣れた声が聞こえた。
「篠原!!」
そこには、靴箱に寄りかかった篠原の姿があり、走って近くに駆け寄った。
「何やってんだよ、こんな時間まで。」
「先輩と一緒に帰ろうと思って。」
「いや、でも、こんな時間までわざわざ待たなくていいから。」
「いいんです。俺が先輩と一緒に帰りたいだけだから。」
「っ…」
篠原の言葉に、顔が熱くなる。
なんでこいつは…
こうも俺の心を掴んでいくんだろうか…
「仲がよろしいことで。」
「孝太。」
「孝太先輩。」
走った俺の後ろから。
ゆっくり歩いて、俺たちのとこまで来た孝太。
すぐに察してくれたのだろうか。
「俺、さき帰るから。」
肩に手をポンと置かれて。
それだけ言うと、靴を履いてすぐに帰っていった。
「じゃ、先輩。俺たちも帰ろう。」
「そうだな。」
孝太の後ろ姿を見送り。
俺たちも靴を履く。
そして、歩き出そうとしたとき…
「ん。」
「え…何??」
手をスッと差し出された。
「手。」
「手??」
「あー、もう!!だから、こう!!」
グイッと。
俺の手を掴んで。
自分の指と俺の指を絡めて手を繋いだ。
手から伝わる体温。
それから、鼓動。
俺と同じ。
体温が熱いことも。
鼓動が早いことも。
同じなんだ。
俺と同じように思ってくれてるんだ。
そう思うと、胸がキュッとなった。
そして、俺たちはそのまま。
手を繋いだまま。
篠原の寮の部屋に帰った。
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