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愛のデート券 10
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あれから。
生徒会の仕事は山のように増え、より忙しくなった。
クラスマッチは何をするか。
優勝商品はどうするか。
そんなことをせっせと決めていた。
仕事は忙しくなる一方。
それでも、篠原との登下校の約束は破ることなく。
幸せで充実した毎日を送っていた。
裏であんなことが計画されてるとも知らずに。
――――――
――――
――
泉孝太side
さて。
今回のクラスマッチのことはだいたい決まったし…
気晴らしに屋上に行くか。
そんなことを思って、今、俺は屋上にいる。
季節は夏だけあって、すごく暑い。
俺は、日陰で読みかけの文庫本を開いた。
すると…
「副会長!!」
聞き慣れた声が聞こえて、そちらを向くと、1年の橘賢太(たちばなけんた)が俺のところに駆け寄ってきた。
「今は、仕事中じゃないんだから。副会長って呼ぶのやめろよ。」
「あっ、すみません。つい…」
「まぁ、いいけど。で、何の用だ??」
すると、ゆっくりと顔を近づけて。
口に手を当てて、小さな声で話し始めた。
「実は、クラスマッチでやりたい企画があるんですけど…」
「やりたい企画??」
「えぇ。……を……という企画です。」
近づけていた顔を離して。
いつも明るくてムードメーカーな橘が不安げな表情で俺を見る。
ま、不安になるのもわかるけどな。
こんな企画、まずあいつが許すわけないだろうし…
「この企画、本人にも話すのか??」
「あ、はい。一応…。本人に了承してもらわないといけませんし…」
「あいつには言うな。」
「え…??」
「あいつに言ったら、絶対ポシャるからな。」
「あの、じゃあ、どうすれば…」
「俺が責任とる。」
「えぇ!?孝太先輩がですか!?」
「俺が了承したなら、あいつも何も言えないだろう。」
「でも、」
「それに!!俺もこの企画、気に入ったから。」
「本当ですか!?」
あの橘なら、おもしろい企画を思いつくとは思ってたけど…
これほどとはなー。
「だから、あいつには内緒で。そうだな、あいつ以外の生徒会みんなにこの企画を進めることを話せ。いいな??」
「わかりました!!失礼します!!」
大きな声を上げて。
深々と頭を下げて。
橘は、屋上をあとにした。
「これは…おもしろいことになりそうだ。」
俺は胸を踊らせながら再び読みかけの文庫本を開いて。
読み始めた。
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