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愛のデート券 15
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「何、無理って。」
機嫌を損ねないように。
言葉を選んで話していたんだけど…
不機嫌MAXの篠原が俺の前に立っていた。
「いや、だからあのとき言っただろ??俺にはやることがいっぱいあって、夏休みにデートしてる暇なんてないって。」
「うん。だから??」
「だからって…」
その言葉、そのままの意味なんですけど…
「俺ともデートしてる暇なんてないってか??」
「まぁ…そうなるな。」
あぁ…やばい。
すっげー怖いんですけど…
「俺は先輩の何??」
「何って…」
「恋人じゃないんですか??」
「いや、そうだけど…」
「恋人ならデートする暇くらい作ってくださいよ。」
そんな無茶な…
「無理だって。もう予定入ってるし…」
「40日間も??」
「まぁ、一応…」
「一応って…。40日間も何の予定を入れてるんですか!?」
「何って…。生徒会の仕事とか。友達と遊んだり、文化祭で総合優勝した賞金使って、クラスのみんなで出かけるし…。それに、帰省もするし。地元のみんなとも遊ぶし。」
俺が予定をベラベラ話していると、「はぁ…」とまたため息が聞こえた。
「なんで、そんなに詰め詰めに予定が入ってるんですか…」
「しょうがないだろ…。もうすぐ夏休みだから、最近頻繁に電話がかかってきて…。それで、断らずにうんうん聞いてたら、こんなになっちゃったんだよ。」
そう言うと呆れた顔を見せられる。
まぁ、呆れられるのも無理ないけど…
「わかりました。じゃあ、俺は全力で勝ちにいきます。」
「え??」
「だって、このクラスマッチで優勝して、得点王になれば、先輩との夏休みデート券取れるんですよね??」
「まぁ、そうだけど…。」
「だから、俺はそのデート券を取るために、勝ちにいきます。」
「なっ!?」
「それだったら、文句言えないですよね??だって、学校で決まったことなんですから。」
「…っ」
篠原の言葉に何も言えなくなる俺。
すると、篠原は俺から離れて、扉のほうに足を向ける。
無意識にガタッと勢いよく立ち上がると、その音に気づいた篠原が振り向いて、また優しい笑顔を俺に向けた。
「楽しみにしててくださいね、夏休みのデート。」
それだけ言い残して。
篠原は空き教室を後にした。
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