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愛のデート券 16
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「何言ってんだよ、あいつ…」
篠原の言葉を受けて。
うれしさで胸が締め付けられるようにすごく痛くて。
胸のあたりの服をぎゅっと掴んで。
しばらくその場を動けなかった俺は、ようやく鼓動が収まり、「ふぅ…」と小さく息を吐いて、体育館に向かった。
体育館に着くと、人口密度と熱気がすごくて。
夏真っ盛りでただでさえ暑いのに、体育館の中はそれを超える暑さだった。
「よ、夕貴。」
俺を見つけた孝太が片手を上げて、こちらにやってくる。
未だにさっきのことが忘れられない俺は、ぷいっとそっぽを向いた。
「そんなに怒んなよ。」
「怒るに決まってるだろ。」
「まぁ、俺も同じことされたら、怒るけどな。」
じゃあ、やるなよ…と心の中で思っていると、「でもな…」と話を進めた。
「この企画のおかげで、みんなすっげーがんばってんだよなー。」
「え…??」
「ほら、運動が嫌いで端っこにいるやつとか、運動が好きだけど、クラスの輪の中に入りきれないやつとかいるだろう??そういうやつらも、がんばってプレーしてんだよ。」
周りを見渡すと、孝太の言っていることはすごく納得できた。
普段、引っ込みじあんの子ががんばってボールを追いかけたり。
見た目が近寄りがたい人も、クラスの輪の中に入って、みんなと楽しくプレーしてる。
「そういう面では、いい企画だと思わないか??」
副会長の眼差しで。
優しく微笑む。
孝太は本当に生徒たちを第一に考えている。
そんな孝太を見て、俺は、「そうだな。」と答えて。
また試合が行われているコートに視線を戻した。
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