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愛のデート券 19
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「夕貴、どうした??」
「え??」
孝太の言葉によって我に返る。
何考えてんだよ、俺。
あいつらが何を言っても、篠原は俺のもので、俺のことが好きで…
何も問題なんてないだろう…
そうだよ。
何も問題なんてない。
「夕貴??」
「ううん。なんでもない。」
孝太に笑顔を見せると、「そっか。」と言って、また試合を見始めた。
すると、ピーッ!!!!という試合終了の合図が鳴る。
そして…
「勝者は…」
その声とともに、体育館中が静かになる。
「56:78で、1年E組!!」
その声が体育館に響いた瞬間、ワァーという歓声に包まれた。
E組のみんなは、まだ一回戦だというのに、抱き合いながら喜んでいる。
不良で話しかけづらいと思われていたであろう篠原と武藤も、あの活躍ぶりにすっかりクラスの輪の中の中心だ。
俺は、そんな光景を見て、自然と頬が緩んだ。
すると、篠原がこちらに気づいたのか、目が合う。
そして、こっちまで駆け寄ってきた。
「先輩、見てくれてたんですね!!」
タオルを首にかけて。
服をパタパタと揺らせて、服の中に風を送り込ませながら、笑顔を向ける。
「っ…」
運動後の笑顔はある意味最悪で最強だ。
すごく爽やかに見えて…
普段見ている笑顔と全然違う笑顔に見える。
おまけに、あんなプレーを見せられた後だ。
目なんて合わせられるほど、余裕なんてない。
俺は、篠原から視線を外して、「あぁ、うん。」と軽く返事をした。
すると、「先輩??」と言いながら、顔を覗き込んでくる。
俺はそれからも視線を逸らす。
「な、何??」
「なんでこっち見ないんですか??」
「え、気のせいだろ。」
気のせいって…
何という苦しい言い訳。
すると、その言い訳に納得しないのか。
それとも目を逸らす俺の態度が気にくわないのか。
俺の頬を手で包んで。
グルッと。
無理矢理、篠原の方に向かされた。
「っ…」
絡み合う視線に体がだんだん熱くなってきた。
「俺を見て、先輩。」
真剣な目で。真剣な表情で。
力強い声でそう言った。
「な、何言って…」
「先輩。」
「っ…。お、俺は…いつでもおまえを見てるよ…。」
「先輩…」
何恥ずかしいこと言ってんだろう、俺…
しかも、こんな人がたくさんいる中で…
でも、篠原のうれしそうな笑顔を見ると、そんなこと、一気に吹き飛んで。
どうでもよくなった。
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