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愛のデート券 20
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「ねぇ、いつでも俺を見ている先輩に聞いてもいい??」
「な、なんだよ。」
「さっきの試合のときの俺、どうだった??」
「え??」
「かっこよかった??」
ズンッと。
距離を縮めて。
顔を近づけて。
聞いてくる。
「ち、近いって…」
篠原の胸を押して、少し離れようとしたが、逆に両腕を掴まれて一層距離が縮んだ。
「答えて、先輩。」
「~っ!!」
「先輩。」
甘く囁かれて。
息がかかって。
体が痺れる。
「か…こよか、た…。」
やっとの思いで言葉を繋げて口にする。
ポンッと。
頭の上に温かい手がのった。
「その顔、反則ですから…」
顔を真っ赤にして。
耳まで真っ赤にして。
恥ずかしそうにそう言う。
「お、おまえだって!!いろいろ反則なんだよ…」
ふっと笑って。
顔がどんどん近づいてくる。
キス…される。
俺は、とっさに篠原の口元を手で覆った。
「し、篠原ッ!!」
「何??」
「こ、ここではちょっと…」
「いいじゃん。」
「ま、周りのみんなに見られるからっ!!」
「そんなのどうだっていいでしょ。」
「で、でもッ!!」
「おーい、夕貴ー!!孝太ー!!」
「っ!?」
誰かの呼びかけに驚いて、思わずドンッと胸を押して。
まるで篠原を拒絶したような形になってしまった。
「あ、あの…しのは、」
「あ、いたいた!!夕貴ー!!」
篠原に話そうとしたら、またしても言葉を遮られてしまった。
たく…誰だよッ!!
そう思いながら、バッと振り返ると、祐介が手を振りながらこっちにやってきた。
「もう試合始まる…って、お取り込み中だった??」
俺と篠原を交互に見ながら、ばつが悪そうな顔でそう言ってきた。
俺は、チラッと篠原を見たが、また祐介のほうに視線を戻して、「ううん、大丈夫。」と答えた。
「もう試合始まるから、準備してってはるちゃんが。」
「あぁ、うん。わかった。」
「あー、それと、委員長が気合い入れるために円陣組もうってさ!!」
祭りごとや勝負ごとが大好きな委員長なら、言いそうなことだ。
「わかった。」
「じゃ、なるべく早く来いよー!!」
そう言って、また手を振りながら。
祐介は人混みの中に消えていった。
それを見送ってから、篠原の方に向き直す。
「あの、さ…さっきのは、その…嫌、とかじゃなくて…」
すると、ふわっと俺の頭に篠原の温かい手がのり、優しく撫でてくれた。
「わかってるから。」
「篠原…」
「ちゃんとわかってる。俺は大丈夫だから。」
「っ…」
そう言って、笑ってくれた。
笑ってくれたのに、どこか寂しそうで…
胸がズキズキと痛んだ。
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