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愛のデート券 23
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篠原柊side
「おい!!会長と副会長が試合に出てるって!!」
「え!?まじ!?ぜってー見る!!」
「だよな!!行こうぜ!!」
先輩が試合に出てるってことで、隣のコートはたくさんの人と歓声でにぎわっている。
でも、今の俺にはそんなことどうだっていい。
あの拒絶の仕方。
あのときの先輩の顔。
考えたくない。忘れたい。
でも、頭から離れない。
「あー、くそッ!!」
頭をわしゃわしゃと掻いて。
イライラした気持ちを声に出してぶつけた。
「何イライラしてんだよ。」
「健…」
後ろを振り向くと、頭がびっしょり濡れた健の姿があった。
そして、首にかけていたタオルでわしゃわしゃと濡れた髪を拭く。
そんな動作もなんか…
「おまえってエロいよなー…」
「は??」
ものすっごくエロく見えて仕方がない。
俺も普通にする動作なのにな。
「いや、なんでもない…」
「…つーかさ、夕貴先輩の試合、見に行かなくていいの??」
”夕貴先輩”
その言葉に妙に反応して、肩がビクッとなった。
「いや、うん…。そうだな。」
「ん??何かあったのか??」
「いや、えっと…」
「はぁ…。まぁ、どうでもいいけどさ、夕貴先輩応援してあげたほうがいいと思うよ。」
「え??なんで??」
「相手の2年D組が先輩に宣戦布告したらしい。得点王のこと。それから、デート券のことも。」
「はぁ!?」
「ま、夕貴先輩のクラスには孝太先輩と、運動神経抜群の佑介先輩がいるからね。あんま心配してない…って、柊!?」
さっきまであんなにうじうじしてたのに。
あのことが頭から離れなかったのに。
今では逆にそのことがどうでもよくなって。
「なんだよ…。夕貴先輩は俺のなのにッ!!」
無我夢中で走って。群がっている人を掻き分けて。
一番前のほうに行く。
「夕貴先輩ッ!!」
声を大きく上げて。
顔を上げて試合に目を向ける。
「っ…」
「おい、柊!!どうしたんだよ、急に走って…え??なんだよ、これ…」
俺を追いかけてきた健も驚いている。
それもそうだ。
だって…
「あれって…本当に先輩たち…??」
息をのむほどのきれいな動き。
本当に信頼してないとできない動き。
「すげーな…あの3人…。」
「あぁ…。」
ゾクゾクと。
健以外のプレーを見て鳥肌がたったのは初めてだ。
「孝太!!」
「夕貴!!」
「ナイス、孝太!!」
「夕貴、こっちだ!!」
「佑介ッ!!」
シュッ!!
「決まったー!!!夏川佑介、決めましたー!!2年B組、これで83点目です!!」
ピピッー!!
「そして、ここで試合終了!!2年B組と2年D組の試合は…83:41で2年B組の勝利です!!」
ワアアアアァァァ!!!!
「ものすごい歓声です!!そして、夕貴、孝太、佑介の3人の最強コンビ!!圧倒的な強さでした!!」
鳴り止まない拍手と歓声に、俺は言葉を失って。
ただただ先輩たちの姿を見ていることしかできなかった。
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