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愛のデート券 28
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あれから、俺のクラスと篠原のクラスは順調に勝ち進んでいった。
そして、昼休憩を挟んだ次はついに準決勝。
その相手は…
「とうとう来たな。」
「どうせなら、決勝であたりたかったんだけどなー。」
2年B組と1年E組。
俺と篠原のクラスだ。
「あ、先輩。こんなとこにいたんですか。一緒にお昼食べましょう。」
トーナメント表を見ていると、のん気な篠原が声をかけてきた。
「なーんで敵と夕貴がご飯食べないといけないんだよ。」
「ちょ、孝太!!」
敵対視で篠原を睨み付ける。
でも、その表情はすぐに変わって…
「なーんてな。ほら、リア充はさっさとどっか行けっ。」
肩を軽く押されて。
前に少し足が出た。
「じゃ、行きましょうか。」
そう言って歩き出したので、俺も篠原の横について、歩き出した。
そして、向かった場所はいつもの空き教室。
あらかじめ買っておいたパンとコーヒー牛乳を袋から出して。
パンの袋を開けて頬張った。
「先輩…俺のこと見ててくれましたか??」
コーヒー牛乳を飲んでいるときに、急にそんなことを聞かれて思わず吹き出しそうになった。
「な、なんだよ急に。」
「いや、どうなのかなって。」
「み、見てたよ…ちゃんと。」
「そっか。よかった!」
篠原もパンとコーヒーを袋から出して、カチャッとコーヒーの缶を開けた。
「俺もずっと見てた。先輩のこと。」
「そ、そうなんだ…。」
そう言われるとなんだか胸がくすぐったくなった。
「でも、俺別に上手くはなかっただろ??」
「いえ、すっげー上手かったですよ。」
「そんなお世辞言われてもなー。」
「本当ですよ。俺、健のプレーを初めて見たとき鳥肌がたったんです。」
「確かに、武藤ってきれいなプレーするもんなー。」
「俺以外でも、こんなプレーするやついるんだなーって。だから、今まで健以外のやつのプレー見ても何も思わなくて…。でも、今日、夕貴先輩と孝太先輩、祐介先輩のプレー見ててすごく鳥肌がたったんです。」
「え…」
「健のプレーを見たときと同じ感覚だった。」
スルッと。
腕に優しく触れる篠原の手。
な、なんか…
触り方がエロいような…
「あの…篠原、」
「パスするとき、シュートするときのこの腕の筋肉。」
「あ、あの…」
「それから、この指の…」
「いたっ…」
ぎゅっと指を握られて。
顔が歪む。
「やっぱり。」
「やっぱりってなんだよ。」
「先輩、ケガしてますよね??」
「え…」
「さっきの試合で突き指しましたよね??」
「っ!!気づいてたのか…」
「はい。プレーがケガを守るようなプレーだったので。」
「そっか…。ていうか、さっきのはなんだよ!!」
「さっきのって??」
「あの変な触り方だよ!!」
「あー、なんかオドオドしてる夕貴はおもしろいから、やってみろって孝太先輩が。」
またあいつかよ!!
「ま、確かにおもしろかったですけどね。ハマりそうです。」
「ハマるなっ!!」
はははっと笑いながら、パンとコーヒーを入れていた袋から湿布とテーピング用のテープを取り出した。
俺のケガに気づいて用意してくれたんだろう。
「でも、ずっと見てたのは本当ですから。」
「え??」
「言ったでしょ。ずっと先輩を見てたって。」
「だから、先輩のケガに気づいたんですけどねー。」と言って。
湿布を貼って、テーピングをしながら、優しく微笑んだ。
「っ!!」
篠原の優しさが胸に染みて。
欲が出そうになる。
触れたい、触りたい。
キスしたい…
なんなんだ、この気持ち。
篠原がかっこいいとか言われてたときも初めて味わう感覚だった。
なんなんだよ、これ…。つーか、ホント何考えてんだろ、俺…
「どうしたの??先輩。」
篠原の目線が手から俺に向けられてドキッとしながらも、その欲をぐっとこらえて。
「な、なんでもない。」と。
そう一言だけ告げて。
その気持ちを篠原に、そして自分に誤魔化すようにまたパンを頬張った。
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