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愛のデート券 30
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いつも通りクラスみんなで円陣を組んで気合いを入れる。
そして、俺たちはコート内に足を踏み入れて。
自分のポジションにつく。
今までにない緊張が俺を襲う。
でも、今の緊張は嫌いではない。
だって、ワクワクするから。
ワクワクする緊張だから。
ピーッ!!
笛の音を合図に試合が始まった。
両者とも譲らず。
俺たちがゴールを決めたら、相手もゴールを決めて。
相手がゴールを決めたら、俺たちもゴールを決める。
守りも固く、今まで戦ってきたクラスとは強さが全然違う。
試合中はみんな釘付けになって見ている。
点が決まるごとに心に火がついて、本気で全力でプレーをしたくなる。
なんて楽しい試合なんだろう。
こんなにワクワクする試合は初めてだ。
やめたくない。
ずっと…こうして試合をしていたい。
それくらい、プレーをしていて気持ちのいいものだった。
自分が全力でプレーをすれば、相手もそれに応えてくれる。
あながちそれは嘘じゃないような気がしてきた。
そして…
ピピッー!!
笛の音を合図に長いようで短い試合が終わった。
始まりのあいさつのように並んで。
結果を待つ。
みんな、肩で息をしていて。
それが、まるで全力でやったんだっていう証のようだった。
「ただいまの試合は…」
審判のその声にざわついていた声が一気にシーンと静かになる。
その静けさに余計緊張感が増した。
審判の人が大きく口を開いて、大きく息を吸って。
「96:92で1年E組の勝利ですッ!!」
その声が聞こえた瞬間、体育館内が一斉に歓喜と拍手に包まれた。
「負けちゃったなー。」
「あぁ。でも、楽しかった。」
両サイドで祐介と孝太が話している。
でも、声質からして、負けて悔しいのは確かだけど、すごく満足感のあるような感じだった。
でも、俺も一緒だ。
負けたのに、なぜか清々しかった。
「先輩。俺、がんばりますから。優勝も。得点王も。」
目の前に並んでいる篠原がそう言って優しく微笑んだ。
その笑顔を見ると、俺も自然と頬が緩んで。
「うん。応援してる。ずっと見てるから…おまえのこと。」と言うと、篠原の顔はみるみるうちに赤くなっていって。
かわいいなと思いながら、緩んでいる頬をもっと緩めた。
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